ライトノベルの歴史
1975年のソノラマ文庫の創刊、1977年の新井素子・氷室冴子らのデビューをライトノベルのはじまりとする説が多い。とはいえ1969年から始まる『ウルフガイ・シリーズ』のように「ライトノベル的なもの」はそれ以前からあった。
当初のソノラマ文庫、集英社文庫コバルトシリーズ及び遅れて創刊する講談社X文庫はアニメや特撮のノベライズが主体であったが、ソノラマ文庫の菊地秀行・夢枕獏ら、コバルトの新井素子らによって現在のライトノベルへと続く土台が形成される。
特に新井素子は「新言文一致体」ともいわれる当時の若者の話し言葉に近い文章を駆使し衝撃を与えた。
1980年代に少女小説ブームが再燃する。多くのレーベルができるが、ほとんどが短命に終わる。
角川スニーカー文庫創刊当時は、意外なことだが少女小説作家を多く引き込んでいて、少女小説ブームの一環であったと思われる。しかし『ロードス島戦記』が少年に大ヒット。少年向けへ方向転換する。
1990年代には『スレイヤーズ!』のメガヒットが起きる。何度目かのファンタジーブームの最中であり、ゲーム的ファンタジー世界をギャグにした内容は、ファンタジー世界を舞台とするコンピュータゲームのファン層に大きな支持を受けた。
このころ角川書店首脳部の確執が元で「角川お家騒動」と呼ばれる事件が発生する。退社した社員がメディアワークスを設立。『ブギーポップシリーズ』をはじめとする電撃文庫を生むことになる。
1990年代にはただのノベライズではない、アニメ・ライトノベル連動の企画が多く立ち上がった。作品としては『天地無用!』、作家としてはあかほりさとるが有名。
2004年から2005年にかけて、ライトノベル評論ブームとでも言うべき動きが起きる。また2000年前後と2006年前後にはライトノベルレーベルの創刊が相次いだ。
Webで公開されているアマチュア小説の書籍化は2000年代始めから行われてきたが、まおゆう魔王勇者や魔法科高校の劣等生の書籍化が人気を集め一大潮流になりつつある。
年表
1960年代
1969年
- 『ウルフガイ・シリーズ』スタート
- サンヤングシリーズ、刊行開始(1972年まで)
1970年代
- 少年少女集英社文庫モンキー文庫(?〜1982)
1972年
- 『指輪物語』翻訳(旧版)刊行開始(〜1975)
1973年
- 秋元文庫創刊
1975年
- ソノラマ文庫創刊(〜2007 実質的には2005年に終了)
1976年
- 集英社文庫コバルトシリーズ創刊(コバルト文庫の前身、名称変更は1990年ごろと推測)
1977年
- 新井素子・氷室冴子デビュー
- 『クラッシャージョウ・シリーズ』スタート(ソノラマ文庫、日本最初のスペースオペラ)
1979年
1980年代
1980年
- 『ダーティペア・シリーズ』スタート(1作目はハヤカワ文庫JA、角川文庫から。2作目以降はハヤカワ文庫JAより)
1982年
1983年
1984年
- 講談社X文庫創刊(〜1987)
- 『宇宙皇子』新書版刊行開始(〜1998)
- 『なんて素敵にジャパネスク』刊行スタート(コバルト文庫、〜1990、連載は1981年から、1999年に新装版発売)
- 『妖精作戦』刊行(ソノラマ文庫、〜1984、新装版は1994、創元SF文庫から2011)
1987年
- 角川文庫《青帯》刊行
- 『ARIEL』スタート(ソノラマ文庫、〜2004)
- 講談社X文庫ティーンズハート創刊(〜2006)
1988年
- 富士見ファンタジア文庫創刊
- 角川スニーカー文庫創刊
- 『ロードス島戦記』スタート(角川スニーカー文庫、〜1993)
- 『風の大陸』スタート(富士見ファンタジア文庫、〜2006)
- ドラゴンマガジン創刊
1990年代
1990年
- NIFTY-Serve SF&ファンタジーフォーラムに「ライトノベル・ミーハークラブ」ができる
「ライトノベル」という言葉の誕生 - 『スレイヤーズ!』スタート(富士見ファンタジア文庫)
- 大陸ネオファンタジー文庫創刊(〜1992)
1991年
- スーパーファンタジー文庫創刊(〜2001)
- 講談社X文庫ホワイトハート創刊
- ハヤカワ文庫Hi! Books創刊(〜1992)
1992年
- 『十二国記』スタート
- 『王女グリンダ』(大陸書房、デルフィニア戦記の前身)刊行
- 大陸書房倒産
- 角川お家騒動とメディアワークスの設立
- スーパークエスト文庫創刊(〜2001)
1993年
- 電撃文庫創刊
- ログアウト冒険文庫創刊(1997年にログアウト文庫に名称変更、1998年にファミ通文庫に再編する形で休止)
- 『デルフィニア戦記』スタート(CNovelsFantasia、本編は 〜1998)
1994年
- 『魔術士オーフェン』スタート(富士見ファンタジア文庫、〜2003、2011年にTOエンターテイメントから続編開始)
1996年
1998年
- ファミ通文庫創刊
- 『ブギーポップシリーズ』スタート(電撃文庫)
- 『マリア様がみてる』スタート(コバルト文庫)
1999年
- 『スクラップド・プリンセス』スタート(富士見ファンタジア文庫、〜2005)
2000年代
2000年
- 2ちゃんねるに「ライトノベル板」(当時の正式名称は「ライトノベル・雑誌・エンターティメント板」)ができる
「ライトノベル」という言葉の普及 - スーパーダッシュ文庫創刊
- 徳間デュアル文庫創刊
- 富士見ミステリー文庫創刊(〜2009)
- 『キノの旅』スタート(電撃文庫)
2001年
2002年
2003年
2004年
- 『空の境界』商業出版
- 『ライトノベル完全読本』刊行開始(〜2005)
- 『ライトノベル☆めった斬り!』刊行
- 『このライトノベルがすごい!』刊行開始
- 『ゼロの使い魔』スタート(MF文庫J)
2005年
- 『ライトノベルデータブック』刊行
- 『神曲奏界ポリフォニカ』、キネティックノベルとして公開
2006年
- GA文庫創刊
- 『神曲奏界ポリフォニカ』書籍刊行スタート(GA文庫)
- ゼータ文庫創刊(2007年以降刊行なし)
- HJ文庫創刊
- 『ライトノベル「超」入門』刊行
2007年
2008年
2009年
- 栗本薫死去
- メディアワークス文庫創刊
2010年
- スマッシュ文庫創刊
- 冲方丁、本屋大賞受賞
- このライトノベルがすごい!文庫創刊
2011年
- 講談社ラノベ文庫創刊
メモ
- 口絵を最初にやったのはハヤカワ文庫。漫画家の表紙もたぶん。
- 担当イラストレーターの「後描き」を最初にやったのはたぶんソノラマ文庫の『カルとブラの大冒険』(1988)。
- 確認しましたが、同文庫の『ARIEL』2巻(1987)の方が先でした。探せばもっと遡れるかもしれません。
- 当初よりノベライズとは密接な関係がある。
- 当初からアニメ脚本家がライトノベルを書くなど、メディアの枠を越えた書き手の交流がある。現在もゲームシナリオライターがライトノベルを書いたり、逆にライトノベル作家がゲームやアニメの企画・脚本に参画している。
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話題まとめ
チャットログ
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2001/10/20011029.html#080000
- 「ライトノベルの歴史」で検索したらこんなページを見つけた。(現在不達)
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2002/04/20020427.html#150000
- スニーカーが女性向だったころというのが思い出せない。
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2002/05/20020530.html#010000
- ライトノベル的な立ち位置の読み物というのは、長い歴史を持つもの。講談読み本とか春陽文庫とかは、ライトノベル的なものだよなあ。今のライトノベルの立ち位置は、若者向け大衆娯楽小説、だろうね。ジュニア小説の後継だと思う。
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2004/12/20041209.html#090000
- ライトノベル☆めった斬り!は「読み手側からのライトノベル史」で「SF評論の視点からのライトノベル史」。出版社の当事者から見たライトノベル史ってのは見たい気がする。SF Japanに少年SFの系譜、と題して、秋元文庫とソノラマ文庫のできるまでのインタビューをもとにした記事が8ページありました。
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write/2007/02/20070220.html#130000
- ライトノベルの歴史をWikiにまとめてみようかという話。
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write-ex1/2007/02/20070221.html#210000
- 私の主観で書きましたので、修正と補足をよろしくお願いします。初期のノベライズ。謎のモンキー文庫。
- http://computer.cre.jp/irc/2007/02/20070221.html#230000
- ライトノベルの歴史の関連でスニーカー創刊時って宇宙皇子がえらくプッシュされてなかったっけ。(補足:シリーズ総計一千万部作品らしいので当然かなあ)