貸本屋
「貸本屋」とは、雑誌、書籍などを貸し出すレンタル・ブックのサービス業(貸本業)の内、店舗を構えて会員制などのシステムでサービスを提供する業態を意味する。
この業態と別に、高度成長期以前の日本では、行商宅配型の「回覧雑誌業」と呼ばれる業態もあった。
貸本屋は、都市化した生活環境、住民の識字率、印刷のテクノロジー、他が揃った環境では、政治的要因などで阻害されない限り、各国の歴史で観られた。例えば、18世紀パリの貸本業や、産業革命期のロンドンの貸本業が近代小説の成立の大きな背景因をなしたことは様々なアプローチで研究されている。
日本の貸し本業
前近代
江戸時代には、草双紙、読本、洒落本などを貸し出す生業は貸本屋と呼ばれ、庶民の手軽な娯楽として親しまれた。
近代
現代(2次大戦後)
2次大戦後の日本の貸本屋は、1950年代後半に激増して最盛期を迎えた、とされる。店舗数は、東京で3000ほど、全国で30000ほどが最盛期の数字とのこと。
その後、高度成長期には衰退。1960年代初頭までは都市を中心に多数営まれていた貸本屋も末期の消滅ペースは速かった。1970年代には、入れ替わるように公共図書館の貸出が急速に拡大。
貸本屋だけでなく「回覧雑誌業」の方も、ほぼ同様の推移を示した。
最盛期の貸本屋は、主に月刊誌や、不定期刊行の貸本マンガ(雑誌というより単行本的形態だが、多くはアンソロジーだった)などを貸し出しアイテムにしていた。貸本業衰退の要因には、安価な週刊誌が続々創刊され、月刊誌主導の体制が崩れた、との事情もあるようだ。
近況
21世紀初頭より一部のレンタルビデオ(DVD)・CDチェーン店でコミック本を有料レンタルするビジネスの動きが出始めた。
2005年には著作権法が改正されてコミックを含む書籍に貸与権を適用する事が認められ、さらに出版物貸与権管理センター(著作権者代表)と日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合(CDVJ・レンタル業者代表)の話し合いが難航の末、2006年末に暫定的ではあるが、一応まとまり、2007年2月1日からは書籍レンタル使用料をレンタル業者から徴収・著作権者へ還付する制度が始まるなど、「貸本」業は「ブックレンタル」ビジネスへと拡大する土壌が整いつつある。
メモ
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