特有語

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「特有語」は、「ある言語共同体に共有されている特有の言語」を意味する言語学の用語。

言語学用語としてのイディオム(idiom)の訳語。比較言語学、社会言語学、一般言語学などで用いられる事がある。

「特有語」の概念は、通例、主流の言語(国家語や公用語)と、諸方言の別を撤廃、あるいは無視する研究態度で用いられる。

つまり、現在の日本語で言えば、いわゆる共通語も、諸方言も、それぞれ言語共同体で用いられているならば、同格の対象として研究する場合に「特有語」の用語が用いられる。

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イディオム
現在の日本語では、「熟語」「慣用句」といった意味で用いられる事が、圧倒的に多いが、英語原義では「特徴的な表現スタイル」といった意味も含み、英語以前の古い語源には、「方言」といった用法もあった。
国家語
プロシア国家成立前後に唱えられた“Staatssprache”の直訳語。機能面では、「国家内の多言語や諸方言を媒介する、公用語」に等し定義だったとされる。しかし、歴史的には、民族語の概念と曖昧に融合して極端な自文化中心主義の根拠とされ、中央集権的、排他的な影響力を振るった。
日本では、国語学者の保科孝一が、昭和初年代に用い始めた、とされている。(『国家語の問題について』)
公用語
公的機関で、公用に用いられる言語。多くの国家や地方行政体では、公用語として用いる言語が、明文規定(実定化)されているが、日本国やイギリス(U.K.)では、実定化されておらず、慣習的に日本語なり英語なりが用いられている。
共通語
本来は、「異なる言語共同体に属す話者達の間で意思疎通に用いられる言語」。例えば、西欧十字軍が中近東で営んだ十字軍国家では、出身の異なる人々の間で当時のフランス語(リンガ・フランカ)が共通語として用いられた。

メモ

  • 社会言語学者の田中克彦氏は、「特有語」の訳語は「それぞれの言語が“特別だ”との誤解を招き易い」との理由付けで「固有語」の訳語を提唱している。(『言語学とは何か』)
    しかし、「固有語」の訳語は「イディオム(特有語)」ではなく、「イディオレクト(社会階層や、個人に特徴的なスタイルを示す言語の使用スタイル)」との混同を招きかねないだろう。
    実際、「特有語」の方にも「若者特有語」といった用法も見られる。

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