地獄少女 第三章(ドラマ版DVD)

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地獄少女』第三章(ドラマ版DVD)

ドラマ版『地獄少女』は、2006年から2007年にかけて、日本テレビ静岡第一テレビで、深夜枠放映された、関東、静岡のローカル番組。マルチメディア展開された「地獄少女」コンテンツ群の1タイトル。

『地獄少女』第三章は、ドラマ版のDVD、第三巻。


販売元=バップ

原作
地獄少女プロジェクト(原案=わたなべ ひろし
企画制作
日本テレビ
製作協力
泉放送制作
製作著作
D.N.ドリームパートナーズVAP

概要

TVドラマ版の第七話〜第九話が、採録されている。

用語や登場人物

地獄少女
地獄通信にアクセスできた人物の前に姿を現す謎の少女と、噂されている。
地獄通信
誰かに強い恨みの念を抱いている人物だけが、インターネットで、深夜0時ちょうどにアクセスできるコンテンツ。
依頼したい人物がネットでアクセスできると、通例、まず、モニター画面の中ほどに、小さな人魂のような炎の画像が灯って消える。そして、画面は、“あなたの恨み、晴らします”と書かれた下に、恨む相手の氏名を書き込み送信するためのフレームと、送信ボタンとが1つずつ用意された、シンプルな画面になる。
ドラマ版では、毎回番組冒頭、タイトル画面の直前に、地獄通信の画面をメインにした画像に、斧アツシによる、次のようなナレーションが被せられる。

深夜0時にアクセスできる「地獄通信」。ここに晴らせぬ恨みを書き込むと、地獄少女が顕われて、憎い相手を地獄に落としてあげる。子供たちの間で広まった都市伝説のような噂は、実は本当だった。

第七話「甘い誘惑」

香山美春(西野妙子)
第一公民社の社員で、雑誌「SPASH」の女性編集員。第七話「甘い誘惑」は、香山美春を新婦にした結婚披露宴から描きだされる。
美春が新婚旅行から戻ってみると、父の孝三は、松井霧子に退職金を騙し取られていた。二人で店を持とうという話に貸しただけだ、と言う父に、美春は「騙されてるかもしれないんだよ」と言うが、孝三は、そんなふうに言うなと応える。
美春は、新婚早々の夫から離婚届を差し出され、結婚を白紙に戻してほしいと言われてしまう。その日の夜、帰宅途中の美春は、松井霧子を偶然見かけ、父に金を返すよう詰め寄る。しかし、霧子は平然と、あのお金は貰ったもの、と言い放つ。
おそらく、その日の深夜、美春は自室のパソコンから地獄通信にアクセス。躊躇わず松井霧子の名を入力して送信すると、直後に地獄少女が「呼んだでしょ」と姿を顕す。美春はそのまま“夕暮れの里”に誘い込まれ、藁人形を手渡される。
美春は、柴田一に呼び出され、藁人形を強引に取り上げられる。家に戻ってみると、父が家を担保に、借金の連帯保証人になっている、と告げられ、差し押さえのため退去するよう通告される。「なんで、いつも相談しないで勝手に決めちゃうの?」と、父を責める美春。その夜、閻魔あいは、再度、美春の前に姿を顕し藁人形を差し出すと「この糸を解くかどうかは、あなた自身が決めることよ」と告げてから消える。そこにかかってくる電話に美春が出ると、堺卓巳からだった。
美春が、堺のオフィスに駆けつけると、父親が堺にすがり付き、離婚せずに済むようご両親を説得してほしいと頼み込んでいる。父親を連れ帰る美春は「余計なことしないでよ」と、文句を言うが、「済まん」としか言わない父に根負けする感じに。父娘は、自宅で死んだ妻(美春の母)のことを話題にしている内になんとなく和解。
おそらく翌日、あるる館で柴田父娘に会う美春は、「結局糸は解きませんでした」と報告。少し間を置いて、あるる館で柴田父娘と一緒にいる美春に携帯電話が入り、父親の投身自殺が知らされる。美春は、あわただしく店を出ようとする。
この後、美春が登場するのは、自殺現場に駆けつける場面、自宅での葬儀の場面、と断続。第七話のラストは、深夜、パソコンの画面をじっと見つめている美春と、彼女の様子を背後から見つめている閻魔あい、という情景に。“後は、あなたが決めることよ”というモノローグが流れ、時計の秒針が深夜0時にむかってカウントする中、マウスに手を伸ばす美春の様子で、エピソード終了。
稲垣隆史(金山一彦)
第一公民社の社員で、雑誌「SPASH」の編集長。
第七話「甘い誘惑」では、冒頭、香山美春と堺卓巳との披露宴の式場で挨拶する場面で初登場。
柴田一(西村和彦)
フリージャーナリスト。元第一公民社の社員で、雑誌「SPASH」とはつながりが深い。
第七話「甘い誘惑」では、冒頭、香山美春と堺卓巳との披露宴の式場にいる来客として、娘つぐみと共に登場。
深夜、自宅で仕事をしていると、娘のつぐみが起き出してきて、美春お姉ちゃんが藁人形をもらってる、と語る。一は、地獄流しによる人間消失の現場に数回立会い、はじめは実在を信じていなかった地獄通信、及び、地獄少女の話を信じるようになっている。一は、美春を、喫茶店あるる館に呼び出して話を聞くと、「復讐をして君の将来は開けるのか??」と言い、「お父さんが喜ぶわけないだろ。悪いがこれは預からせてもらう」と、強引に藁人形を取り上げる。
あるる館を去る美春を、店の外で見送った直後、一は、つぐみに「お父さん、今のよくないと思うよ」と言われてしまう(つぐみは、父と美春のやりとりをカウンター席で聞いていた)。「私だって、お父さんを殺されたら、復讐するよ」と言うつぐみに、一は「偉そうに口出しするな」と言い、表に出ていたゴミ箱に藁人形を棄ててしまう。「お父さんのバカ」と駆け去るつぐみ。一が店内に戻ると、様子を覗っていたマスターは「ほっといていいのか?」と聞く。「1度痛い目にあってんだ。そう遠くには行きやしないさ」と一。
後日、柴田一は、美春から「結局糸は解かなかった」と報告されるが、その直後、美春の父の自殺が知らされる。
葬儀の晩、柴田父娘が家事を手伝っていると、つぐみは「美春お姉ちゃん、可哀想」と一に話しかける。「やっぱり、糸を解けばよかったんだ。父さんがあの時取り上げたりしなければ、今ごろこんなことには」と言われ、一は「つぐみ」と、何かを言いかける。しかし、その場は「柴田さん」と美春に声をかけられ、遅いので、今日はもう、と頭を下げられて、父娘の会話は中断してしまう。
  • 第八話「聖夜の奇跡」冒頭は、柴田家のキッチンで、一がつぐみと食事の準備をしている場面から導入される。「今年のクリスマスはどうする??」と訊く一に、別に、とつぐみ。「なんだよその気の無い答え」と言う一だが、「忙しいんでしょ。いいよ、無理しなくて」とつぐみ。一は「んなこと言うなよ。せっかくの年に一度のイベントだからさ」と言うが、期待して裏切られるの嫌だから、とつぐみ。「いやぁ、去年はな」と言う一だが、一昨年も、と言われ、「そうだっけ、ごめんな」と謝る。ここでつぐみは、幻視に見舞われ、食器ごと食材を取り落とす。「視えたのか?? また?」と訊く一に、つぐみは一つ頷く。
  • 第八話で、一は、つぐみに聞いた話を手がかりに、閻魔あいが訪れたらしい古本屋を探し出して行く。
    ヂゴクオチローの小説『煉獄少女』が載っている雑誌「怪奇探訪」の古い号を発見する一は、店主に「その本、最近人気があるね。さっきも女の子が立ち読みしていたよ」と、声をかけられる。「女の子?」と訊く一に「ちょっと見ないくらい綺麗な子だったねぇ」と店主。
    • 青木書店で『煉獄少女』に気づいた一は、「怪奇探訪」を購入したらしく、エピソードタイトル画面を挟んだ場面では、あるる館で、小説を読みふけっている。小説に描かれた「煉獄通信」のことを「似てるな」と呟く一。さらに閻魔あいの姿を幻視すると、一は『煉獄少女』のことを調べ始める。
    • 一は、雑誌「怪奇探訪」の発行人だった岩崎修一郎を訪ね、小説『煉獄少女』と、作者ヂゴクオチローについて聞かされる。
  • 第八話で、一は、小説『煉獄少女』の作者ヂゴクオチローこと、北川劉生を訪ね、話を聞きたいと言うが「帰れ」と素っ気無く拒絶される。そこに大滝警部から携帯通話が入り、一は、一度北川のアパートを離れる。
    • 一は、大滝警部から50年前の連続殺人事件の捜査報告書を内密な感じで見せてもらい、その際、当時の容疑者が捜査員の目の前で忽然と消えた、と聞かされる。
  • 第八話で、一は、『煉獄少女』の作者、北川劉生が50年前に閻魔あいに地獄流しを依頼した、と確信。北川の話を聞こうと、再度、彼のアパートに戻る。地獄少女に地獄流しを止めさせたい、と訴える一に、「知らん、地獄少女など、俺はっ」と言ったところで、北川は胸を押さえて倒れ込む。
    • 柴田一は北川の介抱をし、つぐみの携帯に電話を入れ何かを告げるが「もういい、お父さんなんか大嫌い、最初から信じなきゃ良かった」と言われてしまう。
    • 柴田一が携帯をしまうと、アパートで布団に寝かされている北川が「家族か」と呟く。気がつきましたか、と言う一に「帰れ」と北川。
    • 柴田一は、夜になっても看病のつもりで、北川の部屋に居座っている。突然の停電に、蝋燭を取り出し灯す一。いつもそんな物、持ち歩いているのか?? と訊く北川に「まさか」と柴田。「頼まれたの、娘に」と言う柴田に、「そうか、今日はクリスマスイブだな」と、北川。「あんたは勘違いをしている」と言う北川は、「あんたがやるべきことは、あんたを待ってる家族の下へ今すぐ帰ることだ」と、一に告げる。黙り込んだ一に「つくづく強情な男だな」と言う北川は、自分の古い知り合いの話、として妻を殺人犯に殺された挿絵画家の話を語り聞かせる。
    • 北川の回想によれば、挿絵画家の男は、50年前、5度めの結婚記念日の日、「ちっぽけな仕事」の打ち合わせに出かけ、帰ってくると妻が殺害されていた。挿絵画家の男は、室井と言うチンピラが犯人と確信し、出刃包丁を持って突きかかったが、逆に打ちのめされ、嘲弄された。その時、風に吹き寄せられた新聞の尋ね人欄に「煉獄通信」の文字が浮かび上がるのを、挿絵画家はみる。「煉獄通信」への依頼葉書を、深夜街頭ポストに投函した挿絵画家の前に閻魔あいが顕われ、藁人形を差し出した。
      「それが、煉獄少女だった。後は、あんたも知ってる、本に書かれた通りだ」と、北川。
  • 北川は回想を語り終えた後、柴田の疑問に答え、さらに自分の胸に記された刻印(地獄送りの刻印)を見せる。「思えば、赤い糸を解いてから、私の人生はこの刻印との戦いだったような気がするな」と、北川は柴田に語る。
  • 北川は、「時間が少なくなって来たようだな」と呟くと、蝋燭が燃え続けている即席の簡易燭台を手に、奥の部屋へ。絵筆を手に奥の部屋の壁面に向かう北川は、着いていった一に、「一つだけ、君に言っておきたいことがある」と語りだす「君は地獄少女を、悪の象徴のようにとらえているが。私は決して、彼女を恨んではいない」。「何故です? 彼女は、あなたの人生を狂わせた張本人じゃないですか」と、柴田。しかし、北川は「いや違う」と応え「私の人生を狂わせたのは、妻を殺した室井という男だ。地獄少女は、私の復讐の手伝いをしてくれた。むしろ、感謝したいくらいだ」と続ける。
    北川が語り終え、絵筆を止めたとき、丁度、蝋燭が燃え尽きるが、停電が復旧される。柴田一を灯りの下で、はじめて室内に多数置かれている閻魔あいの油絵を観て、息を呑む。その時、北川が手を入れていた、大きな肖像画が、瞳から涙を流す。「おぉ、泣いてくれるのか。こんな私のために、泣いて」と、自作の肖像画に語りかけ、北川は息を引き取る。一は、「北川さん」と声をかけた後、涙を流している肖像画を見上げる。
  • 深夜、自宅方向に独り向かう柴田は、「あるる館」の前で脚を止める。閉店時間が過ぎても、クリスマス用の飾り電球を灯してる様子に「まさかな」と呟き、勢いよく扉を開く。「つぐみ」と言いながら店内に入る一に、マスターは「しーっ」と、唇に指をつける。マスターの向かいあう客席には、テーブルに突っ伏すように寝込んでいるつぐみ。「つぐみちゃんなぁ、さっきまで起きてたんだぞ」と一に告げるマスター、「手作りのケーキ、絶対にお父さんに食べさせるんだ、って」。マスターと入れ替わり、つぐみと向かい合う席に座り込む一は、切り分けられたケーキの皿を引き寄せる。「コーヒー飲むか」と言うマスターに、小さく頷く一。一が、ケーキを口にして「おいしいよ、つぐみ」と、小さく呟き、第八話、了。
  • 第九話「偽の代償」の前半、柴田一は、大学生に突き飛ばされた恩田信一郎の前に、姿を現し初登場。「フリーライター」と記された名詞を渡し「実は今、職場やキャンパスでのセクハラ事件を取材してまして」と、取材を持ちかけ「私はハメられたんです」と言う恩田の話を聞く。
    続く場面では、柴田がまとめたらしい記事のコピーが表紙に刷られた「SPASH」が、大学生協らしい売店に出回っている様子が描かれる。
    • おそらく朝食時、一は自宅のDKでTVのニュース番組を観ている。流れる恩田信一郎の暴行未遂容疑での逮捕報道に、お父さんが取材した人だよね?? と、つぐみ。「あぁ、俺があった時にはそんなことをするようにはみえなかったけどな」と、一。つぐみは「人はみかけによらないって言うじゃない」と言うが、「世の中はな、たえず2つのものが背中合わせになってるのさ」と一。「2つ?」と首をかしげるつぐみに一は、「表と裏、真実と嘘、本物と偽者」と語る。TV画像で、後姿が写されている、“被害者(結城夏子)”を見つめながら「彼女はどっちだ……」と、一。
  • 第九話後半、柴田一は、結城夏子の前に姿を現す。実はこの時、夏子は、自分をつけ回している子ども(恩田拓人)を誰何しようとしたと思われるが、姿を現すのは柴田一。柴田は、どうにか結城夏子のコメントを引き出そうとする様子だが「つきまとうと警察呼ぶわよ」といなされ、立ち去る夏子を見送る。この場面では、柴田一と結城夏子の様子を、恩田拓人が無言で覗っていて、さらに恩田拓人の様子を閻魔あいが覗っているのだが、柴田一は、それには気づかない。
  • 第九話終盤、早朝の川べりを、柴田一が恩田と共に歩いてくる。「よかったですね、無事、釈放になって」、と言う柴田に、証拠不充分というだけで晴れて無罪と言うわけじゃない、と恩田。「恩田さん……」と言う柴田に、「これから、私はどうすればいいんでしょうねぇ、釈放されたはいいが。もう、私には何も残っていない」と恩田。そこに「お父さん」と恩田拓人が声をかけてくる。父に、おかえり、僕、又、父さんと一緒に住んでいい? と、言う拓人。「僕はずっと父さんの味方だから」と言う息子を、恩田は抱きしめる。柴田一が歩み寄り、「恩田さん。一番大事なものは、ちゃんと残っていてくれたじゃないですか」と言うが、ふと見た拓人の胸元には地獄送りの刻印が。拓人の両肩を掴み「君は、地獄通信にアクセスしたのか? 赤い糸を解いたな??」と訊く柴田。「僕は後悔してません」、と拓人。話がわからない様子の恩田は、行こうお父さんと言われると、柴田に会釈すると、拓人の肩を抱いて去って行く。柴田は、そんな父子を橋の上で見送る。
柴田つぐみ(入江紗綾)
柴田一の娘。小学校6年生女子。たびたび、閻魔あい視点の幻視を視る。
第七話「甘い誘惑」では、冒頭、香山美春と堺卓巳との披露宴の式場にいる来客として父と共に登場。続く場面では、香山美春と面識もあるらしい様子が描かれる。
第七話の中盤、つぐみは、美春が地獄少女から藁人形を手渡される場面を幻視、パジャマ姿で起き出すと、半覚醒のような様子で、「美春お姉ちゃんが、藁人形をもらってる」と、父親に聞かせる。
第七話では、つぐみは、地獄流しを否認する柴田一に、はっきり反対し、反対の意見を強めていく。
  • 第八話「聖夜の奇跡」冒頭は、柴田家のキッチンでつぐみと一が食事の準備をしている場面から導入される。今年のクリスマスはどうする?? と訊く一に「別に」とつぐみ。一は、なんだよその気の無い答えと言うが、「忙しいんでしょ。いいよ、無理しなくて」とつぐみ。去年も一昨年も約束を破られたらしく「期待して裏切られるの嫌だから」と言うつぐみ。一が、ごめんな、と応えるところで、つぐみは幻視に見舞われる。
    クリスマスシーズンの飾りつけのある商店街を歩いていく閻魔あいが、古本屋に入っていく光景を、つぐみは幻視する。
    • 第八話中盤、つぐみは、一とクリスマスパーティーを約束したらしく、「あるる館」でケーキ作りを楽しそうにやっている。失踪している母親(あゆみ)が昔、クリスマスケーキは、蝋燭が燃え尽きる時に奇跡が起こる、と言っていた、とつぐみはマスターに話す。
  • 第八話の中盤、「あるる館」にいるつぐみは、柴田一からの携帯を受ける。この場面、一側のセリフは入らないのだが、つぐみは「もういい、お父さんなんか大嫌い、最初から信じなきゃ良かった」と言わっていまい、携帯をガチャギリする。
  • 第九話「偽の代償」の中盤、柴田つぐみは、柴田家のDKで初登場。
    (おそらく朝食時)TVのニュース番組で流れる恩田信一郎の暴行未遂容疑報道に「その人、お父さんが取材した人だよね??」と一に話しかける。俺があった時にはそんなことをするようにはみえなかったけどな、と言う一に「人はみかけによらないって言うじゃない」と、つぐみ。「世の中はな、たえず2つのものが背中合わせになってるのさ」という一に「2つ?」とつぐみ。
堺卓巳(松風雅也)
香山美春の新郎となる、セイブン出版社の御曹司。
新婚旅行から戻って来た後、卓巳は、美春に離婚届を渡し、結婚を白紙に戻して欲しいと告げる。義父になる孝三が結婚詐欺にあったため、両親に言い含められたらしい。
香山孝三(三田村賢二)
香山美春の父親。第七話では、披露宴の席上、嬉しそうに上機嫌でいる場面で初登場。妻は死んでいる。
娘夫婦が新婚旅行に出ている間、孝三は、松井霧子から、一緒に店を持とうと持ちかけられ、退職金を貸したが、そのまま霧子は失踪、連絡がつかなくなっている。
しかも孝三は、家を担保に、借金の連帯保証人になっていた。差し押さえのため退去するよう通告されると。美春は、なんで、いつも相談しないで勝手に決めちゃうの? と、孝三を責める、母が病気で死んだ時も相談してくれれば、なんとかなった、と美春。
その日の晩、孝三は、独りで堺のオフィスに出向き、離婚せずに済むようご両親を説得してほしいと、すがりつくように頼み込む。電話で知らされ、駆けつける美春は、父親を連れ帰る途中、余計なことしないでよと、文句を言うが、「済まん」としか言わない父に根負けする感じに。帰宅後、父娘は、自宅で死んだ妻(美春の母)のことを話題にしている内になんとなく和解。
翌日、孝三は、ホスト風に化けた一目連と連れ立っている松井霧子と、路上ですれ違う。呼び止めて、せめて一言謝ってくれませんか、と言う孝三に、「どなたかと、おまちがえじゃありませんか」と、霧子。一目連は、傍で様子をみていた閻魔あいとすれ違いながら「お嬢、だめだよ、あいつ」と囁く。その後、孝三は夕暮れのビルの上から投身自殺をするが、閻魔あいは、その様子も無言で見つめている。
閻魔あい(岩田さゆり)
第七話「甘い誘惑」では、賑やかな結婚披露宴の会場を、場違いな雰囲気で歩るいていく様子が初登場。柴田つぐみのみが、雰囲気を感じたように、視線をさ迷わせるが、閻魔あいの臨場には気づかない。
あいが会場に来たのは、松井霧子を観察するためかもしれない。披露宴の場面は、無言のまま松井霧子を注視するあいの画像で終了する。
香山美春が地獄通信にアクセスし、地獄流しの依頼を送信するとただちに美春の部屋に顕われ、「呼んだでしょ」と告げ、美春を“夕暮れの里”に引き込む。
第七話では、藁人形は一度、依頼人の手を離れるが、閻魔あいは、再度美春を訪れ、藁人形を手渡す。
その後、あいは、美春の父、孝三が自殺する経緯を無言で見つめる。他のシーンを挟んだ後、“夕暮れの里”の家で、あいは、障子越しのおばあちゃんから「いいんだよ、あい。本人が決めたことなら、その先は、お前が考える必要は無いんだよ」と聞かされ、「わかってるよ、おばあちゃん」と応える。
第七話終盤、閻魔あいは、暗い室内でパソコン画面をみつめる美春の背後に顕れる。無言で美春を見つめる様子に“後は、あなたが決めることよ”のモノローグが被さり、深夜0時に近づく時計、美春がマウスを操作しようとする画像が写され、エピソード終了。
  • 第八話「聖夜の奇跡」冒頭、閻魔あいは、柴田家のキッチンで一と共に食事の準備をしているつぐみに、幻視を視せる(定かではないが、あるいは意図的に視せている雰囲気もある)。この時、閻魔あいは、クリスマスシーズンの飾り付けがされているものの、シャッターが降りた店舗も多い商店街を歩いていき、古びた喫茶店の向かいの古本屋に入っていく。
    • 閻魔あいが、つぐみに幻視を、あるいは意図的に視せたかもしれないのは、あいが、喫茶店のドア・ウィンドウに映る自分の姿に視線をやり、間接的につぐみと視線を交わしている場面があるからだ。あるいは、あいは、つぐみに幻視が届いていることに気づいていて、それでも気にせずに視えるままにしているのかもしれない。
  • 第八話の序盤、「あるる館」で小説『煉獄少女』を読みふける柴田一は、閻魔あいの姿を幻視する。この場面では、あるる館のマスターに声をかけられる一が、はっと意識を明晰にすると、あいが立っていたはずのところに、マスターが立っているので明らかに一の幻覚と思える。『地獄少女』の物語世界の因果では、実際に閻魔あいがその場に臨在していた可能性はあるが、かなり不明な描写。
  • 第八話の後半、閻魔あいは、北川劉生は柴田一に語る回想の場面で、「煉獄少女」として登場する。
    • 北川の話を聴いた柴田一が「つまり、地獄通信は時を越えて存在する」と呟くと「あくまでも噂だが、江戸時代以前の書物にも、地獄少女の記述があることをきいたことがある」と、北川。「彼女は何者なんです?」と訊く柴田に、「人ならぬもの。あるいは、かっては人だったのかもしれないと、北川。
  • 第八話の終盤、北川劉生は柴田一に「一つだけ、君に言っておきたいことがある。君は地獄少女を、悪の象徴のようにとらえているが。私は決して、彼女を恨んではいない」と語る。「何故です? 彼女は、あなたの人生を狂わせた張本人じゃないですか」と、柴田。しかし、北川は「いや違う」と応える。「私の人生を狂わせたのは、妻を殺した室井という男だ。地獄少女は、私の復讐の手伝いをしてくれた。むしろ、感謝したいくらいだ」。
    北川が語り終え、絵筆を止めたとき、丁度、蝋燭が燃え尽きるが、停電が復旧される。柴田一を灯りの下で、はじめて室内に多数おかれている閻魔あいの油絵を観て、息を呑む。その時、北川が手を入れていた、大きな肖像画が、瞳から涙を流す。「おぉ、泣いてくれるのか。こんな私のために、泣いて」と、自作の肖像画に語りかけ、北川は息を引き取る。一は、「北川さん」と声をかけた後、涙を流している肖像画を見上げる。
  • 場面は、靄の内、三途の川を流れる渡し舟のシーンに。ゆっくり流れる舟の舳先側で気づく北川は顔を上げ、船尾側に腰掛けている地獄少女をみる。「いやぁ、また会えたね。君は、変わらんねぇ。相変わらず美しい」と語りかける北川に、閻魔あいの口元が、微かにほころぶ。見つめている北川もにこやかな顔をみせている。
  • 第九話「偽の代償」で、閻魔あいは、冒頭、結城夏子らがいる飲食店で、夏子らの近くの席に座っているのが初登場。
  • 第九話、中盤、閻魔あいは、結城夏子の部屋の姿見の内にだけ姿を顕す。
  • 第九話、後半、閻魔あいは、恩田拓人の身辺に顕れ、拓人が結城夏子をつけ回す様子を無言で見つめている。
  • 第九話、終盤、閻魔あいは、勇気夏子の“仕置き”場面に顕れ、「私は閻魔あい」と名乗る。「あなたに会うのは、これがはじめてだったわね」と夏子に言うと、「あなたは、間違えたのよ」。骨女が「私らも迷惑してるんだよ。最近偽物が多くてさ」と補足。「そ、そんな」と夏子が呟くところで、地獄少女がかがみこみ、夏子の耳元で囁くようにして「闇に惑いし哀れな影よ〜」。振り向く夏子に「いっぺん、死んでみる」。場面が三途の川の渡し舟シーンに移ると、夏子は。
松井霧子(及川奈央)
第七話「甘い誘惑」冒頭の披露宴のシーンで、シーン終了間際、新婦の実父、香山孝三の婚約者として、会場に紹介される。会場の稲垣隆史は、拍手を送りながら、隣の柴田一に「あの女、どっかでみたことないか?」と訊く。
松井霧子は、実は、やり手の結婚詐欺師だった。「新婚旅行中に親父が結婚詐欺にあうなんて、シャレにならんな」と、稲垣。
柴田あゆみ
柴田一の失踪している妻、つぐみの母。第七話「甘い誘惑」では、回想シーンもないが、作中人物の間の会話で、何度か話題にされる。
はじめは、冒頭の結婚披露宴から帰宅途上の柴田親子の会話で、つぐみが、自分が結婚するときお母さんは来てくれるかな、と言う。
柴田一が、美春から「預かった」藁人形をゴミ箱に棄てる場面では、つぐみは「ほんと、自己中。そんなんだから、お母さんも、いなくなっちゃったんだよ」と言うと走り去る。
一が店内に戻ると、マスターが「大人びて来たよな、つぐみちゃんも」と一に話しかける。「ああ、だんだん、あいつに似てきたよ」と一。「あゆみさん、連絡無いのか?」と訊かれた一は「なんも」と応える「突然といなくなったきり、この5年間、生きてるのか死んでるのか、それすらもわからん」。
一目連(加藤和樹)
閻魔あいにつきしたがう3体の妖怪の1体。第七話「甘い誘惑」では、美春が偶然、松井霧子に遭遇する時、霧子の連れのホスト風の男として初登場。
次は、柴田一が美春を「あるる館」に呼び出す場面に登場し、連れ立っている骨女に「あの男、何考えてんだ??」と訊く。
  • 第八話「聖夜の奇跡」に、一目連は登場しない。
  • 第九話「偽の代償」で、一目連は、聖都大学購買部にいる客(学生?)として初登場。恩田信一郎の談話を掲載した「SPASH」を手に取る結城夏子を見て「先生の反撃開始か。面白くなってきたな」と骨女に語りかける。
  • 第九話の中盤、骨女と共に結城夏子を監視していたらしい一目連は、再度、恩田信一郎を陥れた夏子のことを「悪運の強い女だ」と評す。横に立つ骨女は、無言で首を振る。
“夕暮れの里”
地獄少女が、時として依頼人を引き込む異空間。作中の人間世界から何時移行しても常に夕暮れ時。アニメ版では湖畔にある依頼人との面会場所は、ドラマ版でも背景に雑木林が小さく写る草地に立つ一本の大樹の傍といったロケーション。
アニメ版を参照すると“閻魔あい”の家がある空間も“夕暮れの里”かと思えるが、ドラマ版では、アニメ版以上に2種の空間の間の連想は弱い。
地獄流し
依頼人が藁人形の紐を解くと、人形は宙に飛び立つなどをしながら「恨み、聞き届けたり」という声を虚空に響かせ、去っていく。
地獄流しが実行させれる場合、通例、ターゲットのキャラは、まず、どことも知れない場所で、バーチャル・リアリティ体験のようにして三妖怪にいたぶられる“仕置き”を加えられる。そして、仕置きの終盤に閻魔あいが、毎回同じセリフで迫ると、場面は、三途の川を思わせるもやに包まれた川の場面に転換。ターゲット・キャラは、あいが艪を漕ぐ小舟に乗せられたまま、川中にそびえる大鳥居をくぐっていく。この時あいの声で「この恨み、地獄に流します」とモノローグが被さる描写が、定型。
ただし、第七話では、定形的な“仕置き”場面や、三途の川の渡し舟のシーンは描かれない。
  • 第七話「甘い誘惑」の終盤、香山家の様子を3体の妖怪が揃って覗っている。「お嬢も苦しいんだろうね」と言う骨女に、輪入道が「ああ。だが糸が解かれなきゃ、俺たちは、何もできねぇ」と応える。
  • 各エピソードの断片的な描写を総合すると「地獄流し」にされた人間は、現実世界では、突然の失踪として扱われる。例えば、後から遺体が発見される、などの描写はみられない。
藁人形(契約の証)
地獄少女が、依頼人に手渡す藁人形のこと。手渡すと、通例、藁人形が「契約の証」で、ほんとうに恨みを晴らしたければ首に巻かれた赤い紐(作中では「赤い糸」と言われる)を解けばいい、と伝える。「糸を解けば、恨みの相手は、速やかに地獄に流されるわ」。
  • 作中のセリフなどには無いが、手渡された藁人形は、いわば“仮契約の証”とみなすと理解しやすいだろう。
  • 藁人形が、閻魔あいに従者のようにつき従う輪入道の化身であることは、各エピソードを観ていると自然にわかる描写がされていく。
あるる館
柴田一、つぐみが懇意にしている喫茶店。
骨女(杉本彩)
閻魔あいにつきしたがう3体の妖怪の1体。第七話「甘い誘惑」では、柴田一が美春をあるる館に呼び出すシーンで、あるる館の客として初登場。やはり客として来店している一目連と合い席で、美春たちの様子をうかがう。「あの男、何考えてんだ??」と言う一目連に「さぁねぇ」と応え、「あたしらのやることが気に食わないんだろ」と言う。
  • 第八話「聖夜の奇跡」に、骨女は登場しない。
  • 第九話「偽の代償」で、骨女は、聖都大学購買部の職員として初登場。恩田信一郎の談話を掲載した「SPASH」を手に取る結城夏子を見る一目連が「先生の反撃開始か。面白くなってきたな」と言うセリフに続け「あの娘どうするつもりだろう」と、呟く。
  • 第九話終盤、“仕置き”のための空間で、骨女は地獄流しターゲット結城夏子に「ここは、この世であって、この世でないのさ」と告げる。
あるる館のマスター(西,田中要次)
柴田一、つぐみ父娘と、懇意にしている。
第七話「甘い誘惑」では、柴田一が香山美春と会話し、藁人形を預かる場面に、カウンター席で二人の話を聴いているつぐみに向かって初登場。後、美春が「結局糸は解きませんでした」と、一に報告する場面で、婚約者が離婚の考えを改めてくれた、と語る美春に、サービスと言ってパフェを出してくる。
  • 第八話「聖夜の奇跡」では、「あるる館」で小説『煉獄少女』を読みふけっていた柴田一に「な、柴田。おい柴田」と声をかけて初登場。「お前だいじょぶなのか??」と訊き、何が?と訊き返されると「何がって……」と、つぐみが、一と約束したクリスマスイブのパーティーのことを「楽しみにしてたぞ」と告げる。お得意さんも呼んで店でやるから、と言うマスターに、一は、ちょっと悪い野暮用と言いながら、出て行ってしまう。「6時からだぞ、遅れんなよ」と声をかけるマスター。
  • 第九話「偽の代償」にあるる館のマスターは登場しない。
輪入道(小倉久寛)
閻魔あいにつきしたがう3体の妖怪の1体。第七話「甘い誘惑」では、変化した藁人形がゴミ箱に棄てられた後、一目連に助け出される場面で初登場。骨女たちに「笑うんじゃねぇよ」と言った後、「しかし、余計なことしてくれるぜあの男は」と連れ立って、あるる館店内の柴田一の様子を覗う。
  • 第八話「聖夜の奇跡」に、輪入道は登場しない。
  • 第九話「偽の代償」で、輪入道は、冒頭、結城夏子らがいる飲食店のボーイとして初登場。
おばあちゃん(声優=松島栄利子
閻魔あいが「おばあちゃん」と呼ぶキャラクター。常に障子越しのシルエットで登場。
第七話「甘い誘惑」で、おばあちゃんは、ドラマ後半、香山美春が父親の自殺現場に駆けつける場面の直後、障子越しに「いいんだよ、あい」と独りで手まりで遊んでいる閻魔あいに語りかける。「本人が決めたことなら、その先は、お前が考える必要はないんだよ」と言うおばあちゃんに、あいは「わかってるよ、おばあちゃん」と小さな声で応える。
  • 第八話「聖夜の奇跡」に、おばあちゃんは登場しない。
  • 第九話「偽の代償」では、ドラマ序盤、おばあちゃんは障子越しに、独りで折り紙遊びをしているあいに「あい、届いているよ」と依頼メールのことを告げる。「うん」と応えるあいに、「今度はどんな人が、頼みにきたのかねぇ」と語る。

第八話「聖夜の奇跡」

青木書店
第八話「聖夜の奇跡」で、閻魔あいが訪れる様子を、柴田つぐみが幻視する古書店。クリスマス商戦の飾り付けがされているにも関わらず、シャッターの降りた店舗が目立つ商店街(セントラルロード)で、赤いドアの喫茶店の向かいにある。つぐみから聞いた話を手がかりに、青木書店に向かった一は、ヂゴクオチローの小説『煉獄少女』が載っている月刊「怪奇探訪」の古い号を発見。店主に「その本、最近人気があるね。さっきも女の子が立ち読みしていたよ」と、声をかけられる。
月刊「怪奇探訪」
第八話「聖夜の奇跡」で、柴田一が、入手する古い雑誌。イメージとしては、2次大戦後すぐに出されたカストリ雑誌のようなイメージか(?)。『煉獄少女』が掲載された号は、発行日を確認する一が「50年も前の本だぞ」と呟く。
『煉獄少女』
第八話「聖夜の奇跡」で、柴田一が、つぐみの幻視手がかりに入手した古い雑誌「怪奇探訪」に掲載されていた小説。雑誌は「50年も前」のもので、作者は、ヂゴクオチロー。
「あるる館」で、『煉獄少女』を読みふける一は、小説内で煉獄少女が男に藁人形を差し出すくだりで「その赤い糸を解けばいい」というセリフを、閻魔あいの声で幻聴のようにして聞く。はっと顔を向けると、閻魔あいが一に向かって「人を呪わば穴二つ。あなたが死んだら、その魂は、地獄へ堕ちてもらう。極楽浄土へは行けず、あなたの魂は永遠にさ迷うことになるわ」と語る(ここで一は、あるる館のマスターが呼びかける声を聞き、あいが立っていたはずの場所に、立っているマスターに気づく)。
「怪奇探訪」の発行人だった岩崎修一郎は、柴田一に訊かれ、煉獄少女のモデルについてはわからないと応えるが「主人公の方は、おそらく北川君自身だろうがねぇ」と、過去の連続殺人事件のことを話題にすると、北側の妻が、連続殺人事件の被害者の1人だった、と聞かせる。『煉獄少女』の作中人物が、妻を殺人鬼に殺され、煉獄少女の力を借りて犯人を地獄に流すという物語が気にかかる柴田。
ヂゴクオチロー
第八話「聖夜の奇跡」で、柴田一が入手する古い雑誌「怪奇探訪」に、掲載された小説『煉獄少女』の作者。
「怪奇探訪」の出版社と契約していた挿絵画家、北川劉生のペンネームで、小説は『煉獄少女』1作のみ。雑誌掲載の『煉獄少女』の挿絵も北川劉生によるそうだ。
岩崎修一郎(鶴岡修)
第八話「聖夜の奇跡」で、柴田一が入手する古い雑誌「怪奇探訪」の発行人だった人物。訊ねてきた柴田一に問われるまま、ヂゴクオチローのことを語って聞かせる。岩崎は、柴田一に請われて、50年も前、北川劉生が住んでいた場所の住所も教える。
北川劉生(高松英郎)
以前「怪奇探訪」の出版社と契約していた挿絵画家。ヂゴクオチローのペンネームで掲載された小説『煉獄少女』を書き、挿絵も描いた。「随分、マルチな方ですね」と訊く柴田一に「どちらかと言えば、不器用な男だったように思うが」と応えるのは、「怪奇探訪」の発行人だった岩崎修一郎。
柴田一が岩崎修一郎に教えられた、50年も前、北川が住んでいた住所を訪れると、古いアパートの一室に北川が住んでいる。しかし『煉獄少女』の話を訊きたいという柴田を北川は取り合わず、帰れ、と言う。
いったん北川のアパートを離れた柴田一だが、北川が50年前、閻魔あいに地獄流しを依頼したと確信すると舞い戻ってくる。地獄少女に地獄流しを止めさせたい、と訴える一に、「知らん、地獄少女など、俺はっ」と言ったところで、北川は胸を押さえて倒れ込む。
  • 柴田一に介抱される北川は、自室の中で布団に寝かせられた姿で眼を覚ますと「家族か」と呟く(直前の柴田一の携帯通話のこと)。気がつきましたか、と言う一に「帰れ」と北川。
    • 柴田一は、夜になっても看病のつもりで、北川の部屋に居座っている。突然の停電に、蝋燭を取り出し灯す一。「いつもそんな物、持ち歩いているのか??」と訊く北川に、まさか、と柴田。娘に頼まれたと言う柴田に、「そうか、今日はクリスマスイブだな」と、北川。「あんたは勘違いをしている」と、一に言う北川は「あんたはさっき、地獄少女を止めたいと言ったが、しかしそんなことをして何になる。だいたい、何故あんたが、そんなことしなきゃならん」、「あんたがやるべきことは、あんたを待ってる家族の下へ今すぐ帰ることだ」とも告げる。黙り込んだ一に「つくづく強情な男だな」と言う北川は、自分の古い知り合いの話、として妻を殺人犯に殺された挿絵画家の話を語り聞かせる。
    • 北川の回想によれば、挿絵画家の男は、50年前、5度めの結婚記念日の日、「ちっぽけな仕事」の打ち合わせに出かけ、帰ってくると妻が殺害されていた。挿絵画家の男は、室井と言うチンピラが犯人と確信し、出刃包丁を持って突きかかったが、逆に打ちのめされ、嘲弄された。その時、風に吹き寄せられた新聞の尋ね人欄に「煉獄通信」の文字が浮かび上がるのを、挿絵画家はみる。
    • 挿絵画家の男は「煉獄通信」とのみ表書きをした郵便葉書を、深夜街頭ポストに投函。すると次の瞬間、和服姿の閻魔あいが顕われ、藁人形を差し出した。
      「それが、煉獄少女だった。後は、あんたも知ってる、本に書かれた通りだ」と、北川。
    • 回想場面で描かれる、50年前の北川劉生は、松原智規が演じる。
  • 北川は回想を語り終えた後、柴田の疑問に答え、さらに自分の胸に記された刻印(地獄送りの刻印)を柴田に見せる。「思えば、赤い糸を解いてから、私の人生はこの刻印との戦いだったような気がするな」と、北川は柴田に語る。
  • 北川は、「地獄送りの刻印」を柴田一に見せた後、「時間が少なくなって来たようだな」と呟くと、蝋燭が燃え続けている即席の簡易燭台を手に、奥の部屋へ。絵筆を手に奥の部屋の壁面に向かう北川は、着いていった一に、「一つだけ、君に言っておきたいことがある」と語りだす「君は地獄少女を、悪の象徴のようにとらえているが。私は決して、彼女を恨んではいない」。「何故です? 彼女は、あなたの人生を狂わせた張本人じゃないですか」と、柴田。しかし、北川は「いや違う」と応え「私の人生を狂わせたのは、妻を殺した室井という男だ。地獄少女は、私の復讐の手伝いをしてくれた。むしろ、感謝したいくらいだ」と続ける。
    北川が語り終え、絵筆を止めたとき、丁度、蝋燭が燃え尽きるが、停電が復旧される。柴田一を灯りの下で、はじめて室内に多数おかれている閻魔あいの油絵を観て、息を呑む。その時、北川が手を入れていた、大きな肖像画が、瞳から涙を流す。「おぉ、泣いてくれるのか。こんな私のために、泣いて」と、自作の肖像画に語りかけ、北川は息を引き取る。一は、「北川さん」と声をかけた後、涙を流している肖像画を見上げる。
  • 場面は、靄の内、三途の川を流れる渡し舟のシーンに。ゆっくり流れる舟の舳先側で気づく北川は顔を上げ、船尾側に腰掛けている地獄少女をみる。「いやぁ、また会えたね。君は、変わらんねぇ。相変わらず美しい」と語りかける北川に、閻魔あいの口元が、微かにほころぶ。見つめている北川もにこやかな顔をみせている。
北川芙美子(関口美保子)
板橋主婦連続殺人の被害者の一人。北川劉生の妻だった。
大滝警部(渡辺哲)
柴田一と顔見知りの警部。第八話「聖夜の奇跡」では、柴田一に頼み込まれ、50年前の「板橋主婦連続殺人事件」の捜査記録を、内密な感じで見せる。警部は、報告書を一に見せるとき、容疑者が捜査官の目の前で掻き消えた、と報告書にあると聞かせる。
  • 第八話では定かでないが、大滝警部が柴田一にガードが緩いのは、5年前の柴田あゆみ失踪事件の担当が大滝で、捜査が実をあげていないことの埋め合わせか、と思われる(この間の事情は、シリーズの先のエピソードで語られる)。
室井竜二(仲野徹)
50年前の「板橋主婦連続殺人事件」の容疑者。北川劉生の回想によれば真犯人だろうと思えるチンピラ。室井は、50年前に北川が地獄通信におこなった依頼で、地獄流しにされたらしい。
「地獄送りの刻印」
地獄通信に依頼をした者の定命が尽きたとき、地獄に送られることを赤しする刻印。通例、胸元に刻まれる。
アニメ版では「契約の刻印」と呼ばれるもの(第1期アニメ第13話では「地獄送りの刻印」と呼ばれている)。ドラマ版第八話では、北川劉生が自分の刻印を柴田一に見せ「地獄送りの刻印だそうだ」と教える。

第九話「偽の代償」

結城夏子(岩佐真悠子)
聖都大学の女子大生。第九話「偽の代償」の冒頭、知人の女子大生と3人で夜の飲食店にいて、講義ノートのコピーを受け渡し、友人との会話で、夏子レイプされかかった「あのこと」が話題にのぼる。夏子は「あのこと」があってから、ずっと大学を休んでいたらしい。
結城夏子は携帯に「会いたい」などのメールを度々受信しているようだ。店を出て友人を別れたところに、恩田信一郎が姿を現すが、夏子は逃げるように立ち去る。
自宅に戻った結城夏子は、自室で恩田から送信された多数の携帯メールを確認。「何なのよもう」と、携帯を投げ出すと、パソコンから地獄通信にアクセス「もう限界」と言いながら、「恩田信一郎」の名を入力して送信。「これでストーカーは地獄送り」と、呟く。
序盤場面のあるいは翌日、結城夏子は友人たちと連れ立ち、大学の正門を出る辺りで、恩田に声をかけられる。本当の事を言ってくれないか、と言う恩田だが、この時は、連れ立っていた男子学生が恩田を突き飛ばし、夏子らは立ち去る。
恩田信一郎が柴田一に語る回想で、結城夏子が聖都大学の理事の娘だと語られる。
後日、夏子は、柴田一がまとめたらしい記事が掲載された週刊誌「SPASH」を大学生協らしい売店で手に取り立ち読み。続く場面では、結城夏子への疑惑がささやかれるキャンパスを、足早に立ち去る夏子の様子が描かれる。
自宅に戻り、自室で藁人形を手にすると「やっぱり、この赤い糸を引くしか」と呟く夏子。そこに来客用チャイムが鳴り、玄関に出てみると恩田が訪ねて来ている。インターフォン越しに「法廷で争うことにした」と言う恩田を夏子は家に上げる。
結城夏子に家の中に通される恩田は「君の将来のことを考えると、裁判沙汰にするのは、私としても心苦しい。君が一言、あれは嘘だったと、認めてくれれば、私も考え直していいんだ」と告げる。夏子は、恩田にレイプ騒ぎは狂言だった、と認める。しかし、夏子は、家人の帰宅時間を見計らって、意図的に恩田を挑発。逆上した恩田は「謝れ」と掴みかかるが、そこに夏子の母親が帰宅。ドアを開けるなり悲鳴を上げる母親に、呆然とする恩田の脇を駆け抜け、夏子は、母親に助けを求める。
恩田が暴行未遂の容疑者として警察に逮捕され、TVのニュース番組で報道された後、結城夏子は、うまくいった、とほくそ笑み“これでもうあいつは、私の前に現われない、あの藁人形を使うまでもなかったわね”と思う。
結城夏子は謎の少年(恩田拓人)に付回されるようになり、そのことに気づく。一度は、少年に面と向かおうとするが、その時現れるのは柴田一だった(恩田拓人は、2人が言葉を交わす様子と離れたところから覗う)。
柴田一を振り切って立ち去った結城夏子は、別の日、後をつけてくる恩田拓人を、人気の無い空き地に誘導。「なんなのあんた? 何であたしのこと付回すの?? 子どもの癖にストーカー?」と訊く。少年の「父さんに謝れ」という言葉から、素性を察す夏子は「ふーん。恩田先生の息子か。さすが、人を付回すのは父親譲りね」と、あざける。恩田拓人が懐から契約の藁人形を取り出し「地獄へ堕ちろ!!」と紐を解こうとすると、「ちょっと待って!!」と夏子。「わかった。ほんとの事を言うわ」と、結城夏子。「嘘じゃないわ、先生にもちゃんと謝る。だから糸は引かないでお願い」などと言う夏子だが、拓人が躊躇う隙に、藁人形に掴みかかり、ひったくろうとする。「騙したな!!」と拓人と夏子はもみ合い、藁人形が地面に放り出されるが、同時に夏子が腕に下げていたバッグも放り出され、そこからもう1体の藁人形が飛び出す。駆け出す2人は、ほぼ同時に、それぞれの藁人形に飛びつき、ほぼ同時に紐を解く。
“夕暮れの里”の地獄少女出陣シーンを挟み、空き地では結城夏子が恩田拓人をあざ笑う「私が引くのが早かったみたいね。今ごろ、先生は地獄送りか」。視線を伏せる拓人に「いい。あんたが、あたしに糸を引かせたんだからね」と夏子。「ガキの癖に。地獄通信なんかにアクセスするからこうなるんだよ」。鼻で笑った夏子が立ち去ろうとする時、その姿が掻き消える。夏子の鞄が地に落ちた音に、拓人が振りかえると、地面には鞄と藁人形が。
結城夏子は、高いところから転げ落ちるようにして、自分が狂言騒ぎを起こした恩田信一郎の研究室に現れる。机に向かってパソコンをいじっている恩田(実は輪入道)を見て「どうして」と呟く夏子。「確か、留置場にいるはずじゃ」と言う夏子に、「今度こそ本当に謝ってもらうよ」と恩田。夏子は、正体(人間体)を現す輪入道、一目連、骨女に次々脅かされ、狭い研究室を逃げ惑う。廊下に逃げ出しても、そこには服を着た髑髏しかいない。輪入道に「逃げられやしない」と言われ、後ずさる夏子は、地獄少女に行き当たる。「私は閻魔あい」と名乗る地獄少女は「あなたに会うのは、これがはじめてだったわね」と言い「あなたは、間違えたのよ」と、語る。「私らも迷惑してるんだよ。最近偽物が多くてさ」と、骨女。「そ、そんな」と夏子が呟くところで、地獄少女がかがみこみ、耳元で囁くようにして「闇に惑いし哀れな影よ〜」。振り向く夏子に「いっぺん、死んでみる」。場面は三途の川の渡し舟のシーンに。
渡し舟で、結城夏子は「帰してよ、明日、合コンがあるのよ。それにエステだっていかなきゃいけないし。それから……」と、場違いな事を言うが、地獄少女は「もう、明日はないわ」とだけ応え「この恨み、地獄に流します」。
恩田信一郎(野添義弘)
元聖都大学教授。第九話「偽の代償」の冒頭、結城夏子に携帯メールを度々打っている様子が示唆的に描写される。結城夏子と友人の会話では「真面目を絵に描いたような人じゃん」「真面目な人ほど、壊れた時が怖いよね」などと評されている。
恩田は、夏子が飲食店を出たところで、待ち構えていたように姿を現し、「夏子くん」と声をかける場面が初登場。この場面では、塾帰りらしい小学生たちが、2人の間を通り抜け、階段で転んだ1人を恩田が助け起こす間に、結城夏子は逃げるように立ち去る。
序盤場面のあるいは翌日、恩田信一郎は、聖都大学の校門付近で、友人たちと連れ立って出てくる結城夏子の前に姿を現す。「このままでは私の人生は終わりだ。頼む、本当の事を言ってくれないか」と肩を揺するが、「辞めろよ」と連れ立っている男子学生たちに押しのけられる。「夏子が嫌がってんだろ」と言う学生に「君には関係ない。これは、私と夏子君の問題だ」と言う恩田だが。連れ立った女子大生が、結城夏子に「行きましょ」と声をかけ、一行は立ち去ろうとする。「待ってくれ」と夏子の腕をとる恩田は、「いい加減にしろよ」と男子学生に突き飛ばされてしまう。立ち上がる恩田にハンカチを差し出すのは、柴田一だった。「恩田信一郎さんですよね。元聖都大学教授の」と、柴田。
恩田と柴田は、公園のような場所に移り話し込む。「実は今、職場やキャンパスでのセクハラ事件を取材してまして」と柴田。「どういう意味ですか」と言う恩田に「あなた、先月大学を辞めさせられてますよね」と柴田。「表沙汰にはなっちゃいないが、女子大生をレイプしようとして、騒ぎを起こしたと。それなのに、いまだにつきまとってる。何故そんなに彼女に執着するんです?」と訊く柴田に「私はハメられたんです」と恩田は語り、場面は回想に。
回想では、単位をくれと懇願した結城夏子に、恩田が「君のような学業意欲の乏しい学生は初めてだよ」と突っぱねたところ、自分で衣服を乱した夏子が廊下に飛び出し、レイプされそうになったと騒いだ様子が描かれる。公園で恩田が柴田に「あの事件で、私は全てを失いました。仕事も、家庭も」と語る場面を挟み、再度回想に。大学で免職を言い渡される場面、妻と息子が家を出て行く場面の回想カットを挟み、「結城夏子のせいで、私の人生はめちゃくちゃです。私はやってない。やってないんだ」と柴田に語る恩田。「なのに、反論するチャンスも与えられない」。
週刊誌「SPASH」に柴田一がまとめたと思える記事が掲載された後、恩田は、夕刻に結城夏子の家を訪れる。インターフォン越しに「何の用ですか? 話すことはもう何もないって言いましたよね」と言う夏子に、「例の雑誌は読んだかい?」と恩田。夏子は、「いいえ」と応えるが、恩田は「君には悪いが、私は法廷で争う決心をした」と伝える。おそらく、この言葉がきっかけになり、夏子は恩田を家の中に通す。
「君の将来のことを考えると、裁判沙汰にするのは、私としても心苦しい。君が一言、あれは嘘だったと、認めてくれれば、私も考え直していいんだ」と恩田。夏子は、恩田に「あれは狂言だった」と認める。しかし、家人の帰宅時間を見計らって、意図的に恩田を挑発。逆上した恩田に掴みかかられるが、夏子は帰宅してくる母親に助けを求める。
結局、恩田は暴行未遂の容疑者として警察に逮捕され、以前の事件(夏子の狂言)と併せて、TVのニュース番組で報道されてしまう。
結城夏子が地獄流しにされるシークエンスを挟み、早朝の川べりを、恩田が柴田一に伴われ歩いてくる。釈放されて良かった、と言う柴田に、「証拠不充分というだけです。晴れて無罪と言うわけじゃない」と恩田。「これから、私はどうすればいいんでしょうねぇ、釈放されたはいいが。もう、私には何も残っていない」と言っているところに「お父さん」と恩田拓人が声をかけてくる。「おかえり」と言い「僕、又、父さんと一緒に住んでいい?」と言う拓人。「僕はずっと父さんの味方だから」と言う息子を、恩田は抱きしめる。一が歩み寄り、大事なものは残っていてくれたじゃないですか、と言うが、ふと見た拓人の胸元には地獄送りの刻印が。地獄通信にアクセスしたのか、と訊く柴田に、僕は後悔してません、と拓人。話がわからない様子の恩田は、行こうお父さんと言われると、柴田に会釈すると、拓人の肩を抱いて去って行く。
「SPASH」
第一公民社発行の週刊誌。以前、第一公民社の社員記者だった柴田一は、雑誌を立ち上げた稲垣隆史と懇意で、今でも「SPASH」との関係は深い。
第九話「偽の代償」では、表紙に、恩田の談話に取材して、柴田一が書いたらしい記事のキャッチコピーが「キャンパスライフは狂言だった!『わたしはやってない』!!」と刷り込まれた「SPASH」が作中に登場する。
恩田拓人(岡田慶太)
恩田信一郎の息子。中学生か?? 画面に初登場するのは、恩田信一郎が公園で柴田一に語る回想シーンの内。拓人が、母親に肩を押されるようにして、家を出て行く様子が描かれる。
第九話の、物語内の今に、恩田拓人が初登場するのは、恩田信一郎が結城夏子に陥れられ、暴行未遂の容疑者として逮捕された後。結城夏子の後をつけ、様子を覗うようにして登場。この拓人のつけ回しには、結城夏子もすぐに気づく。結城夏子をつけ回す拓人の様子は、閻魔あいに見つめられているのだが、夏子も拓人も、こちらに気づく様子は観られない。
別の日、結城夏子の後をつける恩田拓人は、夏子の作為で人気の無い空き地に誘導される。拓人に面と向かい「なんなのあんた? 何であたしのこと付回すの?? 子どもの癖にストーカー? なんとか言いなさいよ」と訊く夏子に「父さんに謝れ」と拓人。「父さんに謝れ。お前のせいで、父さんは警察に捕まったんだぞ」いう拓人に、夏子は「ふーん。恩田先生の息子か。さすが、人を付回すのは父親譲りね」と、あざける。恩田拓人が懐から契約の藁人形を取り出し「父さんの仇だ、地獄へ堕ちろ!!」と紐を解こうとすると、「ちょっと待って!!」と夏子。「わかった。ほんとの事を言うわ」と、結城夏子。「嘘じゃないわ、先生にもちゃんと謝る。だから糸は引かないでお願い」などと言う夏子だが、拓人が躊躇う隙に、藁人形に掴みかかり、ひったくろうとする。「騙したな!!」と拓人と夏子はもみ合い、藁人形が地面に放り出されるが、同時に夏子が腕に下げていたバッグも放り出され、そこからもう1体の藁人形が飛び出す。駆け出す2人は、ほぼ同時に、それぞれの藁人形に飛びつき、ほぼ同時に紐を解く。
“夕暮れの里”の地獄少女出陣シーンを挟み、空き地では結城夏子が恩田拓人をあざ笑い、自分の方が引くのが速かったようだ、と言う。鼻で笑った夏子が立ち去ろうとする時、その姿が掻き消える。夏子の鞄が地に落ちた音に、拓人が振りかえると、地面には鞄と藁人形が。立ち上がる拓人が取り落とす藁人形は「怨み、聞き届けたり」と唱えながら宙を飛んでいく。
結城夏子が地獄流しにされるシークエンスを挟み、釈放された恩田が柴田一に伴われ歩いてくる。「これから、私はどうすればいいんでしょうねぇ、釈放されたはいいが。もう、私には何も残っていない」と言っていると、対岸から、恩田拓人が「お父さん」と大きな声をかけてくる。
拓人は、橋の上で父に駆け寄り「おかえり。僕、又、父さんと一緒に住んでいい?」と言う。「僕はずっと父さんの味方だから」と言う拓人が父に抱きしめられているところに歩み寄る柴田一。大事なものは残っていてくれたじゃないですか、と言った柴田は、拓人の胸元にある地獄送りの刻印に気づく。地獄通信にアクセスしたのか、と訊く柴田に、「僕は後悔してません」と拓人。話がわからない様子の恩田は、拓人に「行こうお父さん」と言われ、柴田に会釈。拓人は父に肩を抱かれ去って行く。
用語
解説

関連する用語

Dream Catcher
  • 「Dream Catcher」
    『地獄少女』主題歌(ドラマ版の構成フォーマットでは、「主題歌」は、毎回のエピソードが終了した直後に挿入される)
スタッフ
  • 原作=地獄少女プロジェクト(原案=わたなべひろし
  • プロデューサー=高橋秀明(日本テレビ)、佐藤禎剛(泉放送制作)、金子与志一(泉放送制作)
  • 企画制作=日本テレビ
  • 製作協力=泉放送制作
  • 製作著作=D.N.ドリームパートナーズ、VAP
  • 製作担当=大内裕
  • 監督=長沼誠(日本テレビ)、高橋秀明(日本テレビ)、金子与志一(泉放送制作)
  • 撮影=滝彰志、白田龍夫
  • VE(ビデオエンジニア)=藤本伊知郎、岡村亮
  • 編集=清水正彦
  • ライン編集=稲岡靖
  • 脚本=森山あけみ、山川智子、最合のぼる、佐藤久美子
キャスト
  • 閻魔あい=岩田さゆり
  • 一目連=加藤和樹
  • 骨女=杉本彩
  • 輪入道=小倉久寛
  • 黄昏の園の老婆=松島栄利子(声のみ)
  • 柴田一=西村和彦
  • 柴田つぐみ=入江紗綾(幼少期=星ひなの)
  • 柴田あゆみ=大塚ちか
  • 稲垣隆史=金山一彦
  • マスター(西)=田中要次
  • 大滝警部=渡辺哲
  • オープニングナレーション=斧アツシ

メモ

閻魔あいの能力
  • 依頼人の身辺に忽然と姿を顕し、忽然と消える。(第七話、第八話)
  • 依頼人を異界(夕暮れの里)に引き込む。(第七話)
  • 周囲の人間に気づかれないまま、臨在する。(第七話、ただし演出的に不確定で)
  • 柴田つぐみに幻視で、閻魔あい視点に近い光景を視せる。(第八話)
  • 鏡面の内にのみ、臨在し、物質世界の側の様子を覗う。(第九話)
観どころ
  • 第七話「甘い誘惑」
    • 閻魔あいが初めて依頼人(美春)の前に顕われる時の芝居が面白い(第七話では閻魔あいは、美春の前に2度顕われ、3度目は背後から見つめる)。
      最初のシーンでは、あいは地獄通信への送信直後の深夜、美春の部屋に忽然と顕われる。驚く美春にあいが「呼んだでしょ」と告げると、美春は「地獄……少女??」と訊き、あいの姿は、美春と向き合ったまま、滑るように退いていき、部屋のドアに溶け込むように消える。「待って!」と美春がドアを開いて部屋を出ると、そこは“夕暮れの里”。
      ここで依頼人があいを追ってドアを開き潜るという能動性がいい。アニメ版では、ここまで、依頼人の能動性を込めた表現は、ちょっと思い出せないように思える。
    • エピソードのオーラスで、深夜、パソコンの画面をじっと見つめている美春と、彼女の様子を背後から見つめている閻魔あい、という情景。“後は、あなたが決めることよ”というモノローグが流れ、時計の秒針が深夜0時にむかってカウントする中、マウスに手を伸ばす美春の様子で、エピソード終了。このシーンは、割といい。
  • 第八話「聖夜の奇跡」
  • 高松英郎氏演じる北川劉生は、熱演。
    • ただし、息を引き取る場面は唐突で怪演な感じに(?)。多分これは役者さんの問題というよりは、脚本や監督の問題か??
  • 実際にキャンバスに描かれた閻魔あいの絵が複数用意された北川の部屋の様子は圧巻。これはアニメ版とは別の迫力。
  • 一方、壁面いっぱいに描かれた閻魔あいの肖像は、その不自然さが露呈してしまっていて難しい。(アニメ版でも、同じく不自然なはずなんだけど、アニメ絵のマジックで見逃し易いところ)
  • 第九話「偽の代償」
その他
  • 第九話「偽の代償」
    • 偽地獄通信のネタは、ちょっと面白いかもしれないが、1回使い切りにされてしまった。第2期アニメ(「二籠」)にあった偽地獄通信とは、まったく違った設定で、これをドラマの焦点に置いたエピソードもあり得たはずとは思える。「二籠」の方ではドラマの焦点にすえられていたので、比べると少し残念な感じはあるかもしれない。

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Drupal.cre.jp - 地獄少女新着

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