ドリトル先生の英国
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ドリトル先生物語を英文学の研究者が再読してみたら。描写に含まれた時代風俗の解説や、ちょっと不思議な訳語の解題、当時の世界認識や風習が与えた影響などを、興味深く温かい目で掘り下げています。
- 著
- 南條竹則
用語や登場人物
- 用語や人名
- 解説
メモ
- 小学校低学年に読んで以来ともなりますと、細部をすっかり忘れていることがわかります。なるほどこんな風に19世紀イギリス風味が満載されていたのかー。
- 食事描写の話から出てきた英国貴族の食生活は、なかなかに豊かなもの。「古英国卓上暦」(平田禿木選集第二巻収録)から引かれた旬の食事の数々はかなり豪華です。月に応じて肉(鳥なども含め)が変わるとか。
- 未訳の『ガブガブの書(Gab Gab's Books)』の紹介がされているが、その中に殺人的料理の腕前な王女の話が含まれていることに驚いた。敵国の王を毒殺するために敵地に向かうという話らしい。
- ガブガブの本のタイトルで今は邦訳されていました。
- 猫肉屋(放し飼いされている犬猫に飼い主から依頼されて茹でた馬肉を与えるお仕事)の実態について。「cat's and dog's meet」と呼ばわり売り歩いたらしい。シートン動物記から引用された情景が面白い。
- メキシコの金鉱の話については調べきれていなかったようだ。この時代にはカリフォルニアやアリゾナはメキシコ領であり、金鉱を見つける話は不自然ではありませんね。
- 実際にメキシコ領時代にアリゾナのスーパースティション山中で金鉱を見つけたものの所在が失われたという話があるようです(ロストダッチマン鉱山(アリゾナ))。
- 月の三部作はアメージング・ストーリーズ創刊後のSF黎明期の作品なんですね。
- 秘密の湖のマシュツ王とはヒットラーであったという話。
目次
- 第一章 博物学者
- 第二章 興行の世界
- 第三章 ドリトル家の食卓
- 第四章 ドリトル先生と女性
- 第五章 ドリトル先生と階級社会
- 第六章 世界の友
- 第七章 ドリトル先生と聖書の世界