侍戦隊シンケンジャー(DVD)第三巻
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『侍戦隊シンケンジャー』(DVD)第三巻
テレビ朝日をキー局に、2009年2月から2010年2月まで地上波放映された変身ヒーローもの連続ドラマ『侍戦隊シンケンジャー』のDVD第三巻。
概要
TVシリーズの、第九幕〜第十二幕が採録されている。
用語や登場人物
- 侍戦隊シンケンジャー
- 三途の川から人間世界に侵出してくる外道衆と戦う侍たちが、変身した姿が「シンケンジャー」。モヂカラを纏って変身する。シンケンジャーが揃うと、「侍戦隊」と名乗る。
- メンバーが揃って変身すると、各シンケンジャーの名乗りに続き、通例はシンケンレッドが「天下御免の侍戦隊」と口上、5人があわせてシンケンマルを一閃させつつ「シンケンジャー!!」と名乗り、それぞれ刀を構えて「参る!」と締める。
- 侍戦隊は、リーダーにあたる志葉丈瑠を「殿様」として、他のメンバーと主従関係を結ぶところが特徴。
- 丈瑠を殿様に再結集した侍戦隊だが、第十一幕「三巴大騒動」で、志葉家の秘事、封印の文字の秘密が語られ、第十二幕「史上初超侍合体」では、丈瑠の方が他のメンバーに「お前たちの命、あらためて預かる」と言い、続けて「俺の命、お前たちに預ける」。侍戦隊は、互いに命を預かり預けあう段階に。
第九幕「虎反抗期」
- シンケンレッド(スーツアクター=福沢博文、他、声=松坂桃李)
- ショウドウフォンを振るい、「火」のモヂカラで変身した侍。シンケンジャーの世界では、代々、志葉家の当主が継承し、侍戦隊のリーダーの役を受け継いできた。秘伝再生刀シンケンマルを烈火大斬刀に変化させて戦う。
- 第九幕「虎反抗期」は、冒頭のアーバンパートが、志葉の館の庭でのシンケンレッドとブルーとの立会いの場面から描かれ始める。三途の川のシーンを挟んだ後、アヤカシ、ヒトミダマの迎撃に出るが、術をかけられたシンケンブルーと交戦を強いられる、やはり操られた虎折神にも攻撃され撤収。
- 第九幕Bパートで、シンケンレッドはヒトミダマに強いられ、操られたブルーと戦う。しかし、用意していた「反」のモヂカラのディスクで、ブルーを術から解放。ヒトミダマが術で操る虎折神を呼び寄せると、レッドは、他のシンケンジャーに「アヤカシは任せる」と言い、自身は大変化させた獅子折神で虎折神に向かう。虎折神に乗り込むレッドは、やはり「反」のモヂカラでヒトミダマの術を解く。
- シンケンブルー(スーツアクター=押川善文、他、声=相葉弘樹)
- 池波流ノ介が「水」のモヂカラを身に纏って変身。シンケンマルを、洋弓タイプの武器、ウォーターアローに変化させて戦う。
- 第九幕「虎反抗期」は、志葉の館の庭で繰り広げられるシンケンブルーとレッドとの立会いの場面から描かれ始める。三途の川のシーンを挟んだ後、侍戦隊は、アヤカシ、ヒトミダマを迎撃に出るが、シンケンブルーはグリーンの身代わりになり術をかけられてしまう。シンケンブルーは、ヒトミダマに操られ、他のシンケンジャーに襲いかかっていく。この時は、侍戦隊が撤退し、ヒトミダマも、いったん三途の川に引き上げる。
- 第九幕Bパートで、シンケンブルーはヒトミダマに操られるままシンケンレッドに挑む。しかし、戦いの果て、シンケンレッドが予め用意していた「反」のモヂカラのディスクを使い、術から解放される。
- 志葉丈瑠(演者=松坂桃李)
- 「火」のモヂカラを使いシンケンレッドに変身する若者。獅子折神を使う。志葉家十八代目当主と称す侍でもある。
- 第九幕「虎反抗期」のAパート終盤、いったん三途の川に撤収したヒトミダマが再侵出してくると、丈瑠は単騎出陣。術に操られるシンケンブルーとの戦いを覚悟してのことだし、他のメンバーが負傷しているためでもあるだろう。
- 第九幕のBパートで、丈瑠はヒトミダマから本気でシンケンブルーと戦えと命じられ、さもなくば腹を切らせると脅される。そこに駆けつける茉子、ことは、千明らに丈瑠は、「お前たちは手を出すな」、「こいつは俺が倒す」と、シンケンレッドに変身。「流さん倒さはるなんて、きっと嘘や」とことは。「だと思うけど、でもどう観ても本気だよあれ」と、茉子。「何考えてるんだよ丈瑠の奴。いつまでも殿様の顔崩さないから、こういうとき100パー信じらんないじゃないか」と千明。
戦いを見守る侍戦隊のメンバーたちは、突然現われる腑破十臓にブルーの負け予告を聞かされる。シンケンレッドが刀を肩に乗せて構えるのを「あの構え、腕の疲れを最小限にするには最適じゃないか。一本を狙ってくる相手が崩れる一瞬の隙に。それを待っていたはずだ、奴は」と、十臓。「一本ではなく、一撃を取るために」。
十臓の解説が途切れるタイミングで、シンケンブルーがレッドに斬りかかる。丈瑠は“流ノ介、耐えろ”と念じつつブルーの剣を受け流す。そのままシンケンマルに仕込んでいた「反」のモヂカラのディスクを発動させ、ブルーの胴を一薙にするレッド。 - シンケンブルーが術から解放され悔しがるヒトミダマに、シンケンレッドは「お前の術をモヂカラではじけるのはわかっていた」と告げる。「ただ、モヂカラを撃ち込めるチャンスを作れるかどうか、流ノ介相手に、かなりの賭けだったけどな」。
- 第十一幕「三巴大騒動」では、スキマセンサーの反応に応じて出撃する侍戦隊は、Aパートで、ナナシ、オオナナシの異常な大群に立ち向かう。戦いの内、ナナシたちは、口々に「シンケンレッド。おのれ、シンケンレッド。志葉の当主」と呻きながら、シンケンレッドだけを狙って集まっていく。
- 第十一幕で、日下部彦馬から封印の文字の秘事について聞かされるシンケンジャーたちは、池波流ノ介を中心に、封印の文字を使えるようになるまで丈瑠を護りながら戦う、と話し合うが、丈瑠本人は「そんな必要は無い。自分のことは自分で護る。お前たちは今まで通りでいい」と告げる。今までとは状況が違う、と白石茉子、丈瑠がこっちの切り札ってことだもんな、と谷千明、うちも頑張りますと、花織ことは。しかし、「いいから。戦いのなかで余計な事を考えるな」と、丈瑠。命に代えても、とくいさがる流ノ介にも「かえって足手まといだ」と応じる。
- 第十一幕Bパートで、侍戦隊をおびき寄せたアヤカシ、ウシロブシに「お前にはここで死んでもらう」と言われた丈瑠は、「出来るならやってみろ!」と、叫びながら独り駆け出し、シンケンレッドに変身。ウシロブシと戦うシンケンレッドのことを「何か変!! いつもと様子が違う」と、茉子。
- ウシロブシと戦うシンケンレッドに、他のシンケンジャーたちは加勢しようとするが、ナナシの群れに足止めされてしまう。レッドは、ウシロブシにシンケンマルを飛ばされ、鬼刀二段斬りを喰らい、さらに止めを刺されそうになるが、シンケンブルーとイエローが駆け寄ってくる。「来るなッ!!」と言ったレッドの前で、盾になって倒れる二人。変身が解けた池波流ノ介と花織ことはを庇おうとするシンケンレッドに歩み寄るウシロブシとの間に、今度はシンケンピンクとグリーンが割ってはいる。「まとめてくたばれ」と、ウシロブシが、一撃を打ち込もうとするとき、割って入るジュウゾウ。
ジュウゾウはウシロブシの一撃をはじき返すと、返す刀で、ピンクとグリーンを跳ね飛ばし、そのままシンケンレッドに斬りつける。レッドはシンケンマルで受けるが、「このシンケンレッドは、俺が戦う相手でな。悪いが、ここは手を引いてもらう」、「もし、できないと言うのであれば」と、ジュウゾウ。「あれば??」と斬りかかるウシロブシ。ジュウゾウとレッドは、ほぼ同時に斬激を回避。レッドは、突き立っていたシンケンマルも掴み二刀に。そのままジュウゾウ、ウシロブシ、シンケンレッドは三つ巴の斬り合いに移っていく。入り乱れる斬り合いは、互いに切先を突きつけあう三すくみに陥るが、まずウシロブシが剣を引き、間合いを取ると「残念だが水切れだ。ジュウゾウ、ドウコクが怒るぞ」と言い残し、隙間から三途の川へ引いていく。
ウシロブシが去った後「お前、どうして俺を」と言うシンケンレッドに、「腕のある者と戦うことだけが望みだ。俺も」とジュウゾウは再度刀を構え「この裏正も」と語る。1対1の斬り合いに入る2人だが、裏正で左肩に斬りつけられたレッドは、二刀の片方を取り落とし、後ずさって岩にぶつかり膝をつく。ジュウゾウは、いったん刀を引き「お前、いつもと違うな」と呟くと、「俺が望んでいた戦いはこんなものではない」と言いざま、うずくまっているレッドに裏正の切先を突きつける。レッドの背後の大岩を両断し「次はこの斬れ味を味わってもらう」と言って、ジュウゾウは手近の崖の上まで飛翔。崖の上で人間体に変わり「シンケンレッド、この貸しは大きい。いずれ、俺の満足する果し合いをしてもらう」と告げる。その姿に、「あいつ、確か」と、第九幕に登場した腑破十臓とジュウゾウが同一と気づく千明と茉子だった。「おい、お前、何なんだ。外道衆かよ!?」と訊く千明に「俺は、腑破十臓。それだけだ」と告げ、十臓は去って行く。
- 第十一幕のエピローグ相当場面で、負傷した侍戦隊は、志葉の館で治療を受けるが、丈瑠は治療もそこそこに独り館を抜け出し、いずことも無く姿を消してしまう。
- 第十二幕「史上初超侍合体」冒頭、志葉の館を抜け出した後の丈瑠は、あてもなく夜の街をさ迷い歩いていく。心中では“あいつらは、きっとこれからも”と、自分を庇って負傷したシンケンジャーたちのことを想い起こし、“それでも……、俺は……”と迷いを重ねる。
- 第十二幕中盤、谷千明は「何だよ、気分転換って」と気抜けした様子。朝食の時、日下部彦馬に、丈瑠は気分を変え、アヤカシ(ウシロブシ)に対抗する策でも練っているのだろうと言われ、真に受けてる様子。「流ノ介とことはが、丈瑠かばって怪我したからさ、少しは落ち込んだのかと思ったよ」と言う千明に、「同じ意味かもよ。……気分転換って言ったら、軽すぎるけど」と、白石茉子。「千明さ、自分が殿様だったら、って考えた事ある?? あたし、夕べ、ずっと考えてた」と、茉子。「何それ?? ま、ぺこぺこされるのは気持ちいいかもな」と言う千明に、茉子は珍しくカッとした様子で「あのねっ。ぺこぺこされるってことは、その人の全部、預かるってことだよ。昨日のことはと流ノ介みたいに、自分に命賭けてくる」と、語る。「それは丈瑠も、止めろつってんだろ」と言う千明だが、「でも止められない」と、茉子。「丈瑠は、死ぬわけにはいかないんだから」と聞かされ千明も「そっか、丈瑠が外道衆倒す切り札だもんな」と応じる。「この世を護るためには、家臣を捨てても、自分は生き残らなきゃいけない。できる??」と、茉子は続ける。「あたしだったら、殿様辞める。でも、丈瑠は辞められない。ちょっとくらい逃げ出したくもなるよ」。
- その頃、夜通し歩いたらしい丈瑠は、ウォーターフロントで道に迷っていた。泣いてる子供に、紙飛行機を折ってやり、あやした後「ここ、どこかな?」と訊ねる丈瑠。子供たちを連れていた保育士がよって来て、子供に声をかけると「あのお兄ちゃん、迷子なんだって」と言われてしまう。
- 三途の川のシーンを挟んだ後、場面が人間界のウォーターフロントに戻ると、丈瑠は広場のような場所で、保育士たちと遊んでいる幼児たちの傍で、さっきの子供に紙飛行機のコツを教えてやっている。広場に飾られる鯉幟がふと視野に入り、丈瑠は過去の記憶を想起。やはり端午の節句の日に、鯉幟の脇で飛ばされる紙飛行機の記憶だ。
- 「すみません、すっかり遊んでもらっちゃって」と、丈瑠に礼を言う保育士「迷子になってくれて良かったです」。「うちの保育園、男の人がいないから嬉しかったみたい」と、子供が元気になって良かったと、丈瑠に聞かせる保育士は、子供の父が怪物に襲われた亡くなった、とも聞かせる。一瞬間を置いて「じゃぁ、僕はこれで」と、丈瑠。「帰れます?」と聞く保育士に「場所がわからなかっただけだから」と丈瑠。
- 丈瑠は歩きながら、先代志葉雅貴に、獅子折神を託された時のことを想い起こしていく。火がまわった屋敷の内で、瀕死の雅貴は「忘れるな、今日からお前がシンケンレッドだ」と告げ、獅子折神を差し出し「決して逃げるな」と言いながら丈瑠に握らせると、「外道衆からこの世を護れ」と告げた。その時、爆発音がし、丈瑠が見やると、子供たちがいた方で、ビルが崩壊していく。
- 志葉の館では、侍戦隊が出陣しようとしている。包帯を巻いた池波流ノ介と、花織ことはも起きてくる、「殿は必ず来られる。頼むぞ」と、日下部彦馬。「それから、これだけは言っておこう」「殿は、最後までお前たちを集めることに反対しておられた」と、日下部。「戦いに巻き込むまいと、独りで戦っておられた」。
- Bパート冒頭、ウシロブシがナナシたちを率い暴れている。「あれだけやられた後だ、少し派手にやらねば、シンケンレッドも怯えて出てこんかもしれぬ」。子供たちと保育士が脅かされているところに、獅子折神が投げつけられ、丈瑠が飛び込んで来る。
- 「結構早かったな」と、ウシロブシ「シンケンレッド、お前も死にゆく身だ、ガキ共の心配をしている余裕はあるまい」。丈瑠は保育士たちに声をかけ、子供たちを逃がすよう告げると「外道衆」と、ウシロブシに向き合う。「お前たちだけは」「倒す!!」。ナナシ連中を相手に丈瑠が斬り合いをはじめると、他のシンケンジャーたちが駆けつけ参戦。
- 「殿、うるさく思うでしょうが、私はこのように育ちましたし」と流ノ介。「このようにしか戦えません。この先もずっと!!」。
- 「正直、戦うなら仲間でいいって思ってたけど、殿だから背負えることもあるんだよね。きっと」と、茉子。「だから決める。丈瑠に、命預けるよ」。
- 「お前が殿様しょってくっつーなら、家臣になってやってもいい」と千明。「ただし、俺がお前を越えるまでだ」。
- 「うち、あの……。殿様、死んだらあかんっ!」と、ことは。「うち嫌です。それだけです」。
- 丈瑠の脳裏に、生前の雅貴が、紙飛行機を折ってくれた時のことが想い起こされる。「強くなれ、丈瑠。志葉家十八代目当主。どんなに重くても背負い続けろ」と、雅貴が投げた紙飛行機は、鯉幟の脇を回りこんで、上がって行った。「落ちずに、飛び続けろ」。
「流ノ介、茉子、千明、ことは。お前たちの命、改めて預かった」と、丈瑠。「元より」と流ノ介が応えると、「俺の命、お前たちに預ける!!」と丈瑠。「任せろ」と千明が応じ、他の面々も頷き、ことはが「はい」と答える。一同、変身して、外道衆と交戦。
- 侍戦隊は、シンケンマル五重の太刀で、ナナシ連中を蹴散らし、ウシロブシに連撃を見舞う。ウシロブシが鬼刀二段斬りの構えに入ると、「いいか、奴の必殺技は、最初に衝撃波が来る。その次に太刀だ。それをかわせば……、いいな」とレッド。まず、衝撃波をピンクとイエローが受けきり、次の斬撃をブルーとグリーンが受けきる。2人が吹き飛ばされると、大筒モードの烈火大斬刀を構え終わったレッドが待ちかまえていて、寅五輪弾を見舞い、ウシロブシの一の目は倒される。
「おのれ、この俺がこのような姿に」と、二の目で巨大化再生するウシロブシ。シンケンオーに対して、オオゾラナナシ連中も呼び出されるが、流ノ介の発案で、テンクウシンケンオーに超合体。侍戦隊は、オオゾラナナシも二の目のウシロブシも倒す。
- 池波流ノ介(演者=相葉弘樹)
- 池波家出身の若者。「水」のモヂカラを継承していて、シンケンブルーに変身する。現在の侍戦隊メンバーでは、一番、丈瑠への忠義をつくす。
- 第九幕「虎反抗期」の冒頭、シンケンレッドとシンケンブルーの立会いを観て、谷千明は、性格もあって隠れているが、池波流ノ介は相当に強い、と今更驚く。それを聞いた日下部彦馬は、あるいは技術だけなら流ノ介の方が丈瑠より上かもしれない、と言う。「流さんの剣、綺麗やもんなぁ」と花織ことは。「教科書に載せるとしたら流ノ介の方よね」と、白石茉子。日下部は、丈瑠の強さは実戦で鍛え上げたものだと言う。
- 第九幕で、流ノ介はシンケンブルーに変身したまま、アヤカシ、ヒトミダマの術で操られてしまう。Bパートでは、シンケンレッドと斬りあうが、突然現われる腑破十臓は、戦いを見守る侍戦隊のメンバーたちにブルーの負けを予告。
「あの男、稽古熱心なんだろうが、そういう奴はどうしても、技に走る。一本取ろうとするんだ。ゴミ一つ落ちていない道場での、行儀のいい試合をする場合はそれでいい。しかし、実戦は別だ」と十臓。「必要なのは、その場に応じた動き、そして時間制限の無いなかでの、体力の計算」。 - シンケンレッドにヒトミダマの術から解放された流ノ介は、戦いが終わった後、操られたとは言え、殿に刀を向けるなどと、後悔。自分を捨てて行ってくれ、と言うが、茉子、千明、ことはらに引きづられて行く。「もしかしたら私は、殿の命を奪っていたかもしれないのだ」と言う流ノ介に、丈瑠は「流ノ介。あれだけのモヂカラを撃ち込んだら、お前は死ぬかもしれなかったんだ。俺はお前の命を勝手に賭けた」と、告げる。顔を上げる流ノ介から、眼をそらしながら「ごめん」とだけ言う丈瑠は、「これでこの話は終わりだ。もう二度とするな」と背を向けると、「いいな」と去って行く。
- 日下部彦馬(演者=伊吹吾郎 )
- 志葉家の家臣。志葉屋敷の家裁で、丈瑠の後見人のような立場。大勢の黒子たちを召使い、先代、志葉当主(雅貴)の戦死後は、丈瑠の親代わりを勤めてきた。
- 第九幕「虎反抗期」でシンケンブルーがヒトミダマの術に操られるようになると、ドラマの中盤、日下部彦馬は、丈瑠に、いざとなれば流ノ介と戦う覚悟が必要と告げる。
- 第十幕「大天空合体」で、兜折神のディスクが白石茉子に預けられるが、落胆した谷千明が猛稽古を始めると、日下部彦馬も感心。「日ごろの爺の説教も無駄ではなかったようで」と、丈瑠に言い、嬉しそうに笑う。
- 第十幕で、日下部彦馬は、戦闘から戻った谷千明を「この大馬鹿者。一体、何を考えておるのだ」と強く叱責。千明が、戦闘中、独断で兜ディスクを使おうとして失敗したからだ。日下部は、「独りで稽古に励んでおると言うから、己の力不足を知っての殊勝な心がけと関心しておったのだぞ!! それを!」と言うと、ショドウフォンを預かると言い出す。「モヂカラも武術も足りぬ上に、そのような愚かな事では、殿や皆に迷惑。少し謹慎しておれ」「お前は、侍になるのが早すぎたのかもしれんな」と告げる。ムッとした千明はショドウフォンで日下部の顔に落書き。かっとした日下部は、千明と取っ組み合いを始める。
- 一騒ぎの後、日下部彦馬は丈瑠から、爺もむきになるとこあるよな、と言われ「面目次第も」と恐縮。「千明の奴めが、まことに歯がゆいと言うか、さらに厳しく鍛えねばなりませんな。殿のように一人前の侍に育てるのが、爺の勤めなれば」と言うが、丈瑠は「わかるけどな」といなす感じで「千明は俺じゃないぞ。あいつの性格からしたって、同じようにってのは無理だろ。扱う文字が違うのと同じ」と語る。「それは」と言う日下部に、「だいたい、今回は、千明なりに強くなろうとしてやった訳だし。それって爺の説教の賜物って奴じゃないのか」と、丈瑠。「少し強く言い過ぎましたか」と言う日下部に「そうだろ」と、丈瑠。「しかし、あの程度ならばそれほどでは」と日下部が言い出すと、丈瑠は「まぁな」と言い置いて出て行ってしまう。
- 第十幕Bパートで、日下部彦馬は大形バイクで出かけ、街をぶらついている谷千明をタンデムで連れ出す。こんなの乗ってんだ、と言う千明に「馬は腰に来る」と日下部。
- 日下部は千明を竹林に連れて行き、「少し気づいたことがある」と言い「、お前が受け継いだモヂカラは何だ?」と訊く。木だけどと聞くと「どんな木だ?」と訊ねる日下部。木は木だろと言う千明に、日下部は、「お前のなかにある、お前の木を見つけろ」と、取り上げていたショドウフォンを渡す。いいのかよ、と言う千明に「お前にはまず、基礎の基礎を教えるべきであった」と日下部、「何かと殿と同じようにと考えたのもまずい。つまり……、言い過ぎた面もあった……、と言うことだ。わかったな」。苦笑した千明が、もしかして謝ってんの?? と、訊くと、「いやぁ……、まぁな」と照れ笑いで応じる日下部だが、千明は「だったらこうだろ」と頭を下げてみせる。日下部が、笑いながら頷くところに、千明のショドウフォンに丈瑠からの通話が、アヤカシ、オカクラゲの再侵出を知らせる報だった。
- 第十幕でアヤカシとの戦いが決着した後のエピローグ的パートでは、日下部彦馬は昼寝をしてる間に、顔に落書きをされて、千明に激怒。「ショドウフォンを悪戯に使うな!!」と千明を追い掛け回す。
- 第十一幕「三巴大騒動」で、ナナシの大群を戦った侍戦隊が志葉館に戻った後、敵が丈瑠だけを狙ったと知らされる日下部彦馬は、「血祭ドウコク、どうやら気づいたとみて、間違いありますまい」と、封印の文字のことを語りだす。
- 封印の文字をのことを侍戦隊に聞かせた後、日下部は、独りで“ドウコクが気づいたここからが正念場。命を賭けたこの一策。どうか最後まで見守って……”と、床の間に飾られる鎧に向かい合う。
- 第十二幕「史上初超侍合体」冒頭、日下部彦馬は、第十一幕オーラスで志葉の館を抜け出した丈瑠を想い、無人の広間で一人語り。「殿。また一段と重さが応えましたか。志葉家十八代め当主。この荷物、確かに重い。時には下ろしたくもなりましょう。が、お探しはいたしません。お早いお戻りを」。
- 翌朝、朝食の席で、戻らなかった丈瑠を心配する白石茉子、谷千明の前に、普段と変わらぬ様子で、日下部彦馬が現れる。「昨日の戦いも何か変だったしさ」と心配する千明らに、丈瑠の行方を聞かれると「いやぁ、心配ない」と笑いながら、「少し気分を変えて、あのアヤカシに対抗する策でも練っておられるのだろう」と聞かせる。
- 谷千明(演者=鈴木勝吾)
- 「木」のモヂカラを継承し、シンケングリーンに変身する。高校を卒業したばかりで、侍戦隊男性陣では1番若い。花織ことはよりは年長。侍戦隊に参集しても、当初は、丈瑠の家来になったつもりはない、と反発を示した。しかし、丈瑠の強さを認め、丈瑠を殿と呼ぶと侍戦隊に残る。この時、丈瑠を追い抜くことを自分の目標に。
- 第十幕「大天空合体」冒頭で、兜折神の扱い手に選ばれなかった谷千明は、落胆するが、発奮して猛稽古を始める。食事も採らずに稽古する様子に、池波流ノ介は「あの、千明がな」と感心。花織ことはは、流ノ介が舵木折神を捕らえた後、夜中に独りでモヂカラの稽古をしていた、と語る。「きっと、殿様や流さんに追いつくためやと思う」。
- 千明は剣の稽古をしながら、モヂカラを使うときの丈瑠や流ノ介を想い起こし、「ったく、どこが違うんだよ」と迷う。「いや……、違ってたまるかよ。昔はともかく、ここに来てからは、俺だってかなり……」と独り言を呟き、刀の柄を握り締める。
- アヤカシ、オカクラゲと侍戦隊最初の交戦時、兜ディスクがシンケンピンクの手元から撃ち飛ばされるが、シンケングリーンがすかさず奪取。しかし、ピンクには返さず、独断でそのままウッドスピアに装填して戦おうとする。この時、グリーンはディスクを使いこなせず、オカクラゲを逃してしまう。
- 侍戦隊が志葉館に戻ると、日下部彦馬は谷千明に激怒、ショドウフォンを渡し謹慎しろと命じる。お前は、侍になるのが早すぎたのかもしれんな、と言われ、ムッとした千明は「俺のモヂカラはこんな程度だし」と、ショドウフォンで日下部の顔に落書き。かっとした日下部と取っ組み合いを始める。
- 騒ぎの後、白石茉子は、「まったく千明も彦馬さんも子供みたいなんだから」と、ボヤく。「千明、辞めるなんて言わへんよな」と言うことはに、「辞めるぐらいなら、あそこまでむきにはならない」と流ノ介。「だね、足掻いて強くなるしかないよ」と、茉子。「でも、千明のモヂカラなら、もう兜のディスクも使えると思うんだけどな」と呟く茉子に、「そうしたら何で??」と訊くことは。「うーん……、ちょっとしたきっかっかな、って気はする」と、茉子。
- その頃、千明は、独りでゲーセンに。やけ気味に格闘ゲームをプレイしながら、自分のことを「オレ、カッコワルイ」と呟く。
- 第十幕Bパートで、街をぶらついている谷千明は、大形バイクに乗った日下部彦馬に呼び止められる。ヘルメットを渡され乗れと言われる千明は、タンデムで「爺さん、こんなの乗ってんだ」とびっくり。馬は腰に来ると言う日下部に「基準は馬かよ」と千明。
- 日下部に竹林へ連れて行かれる千明は「こんなとこでお説教とか??」と訊くが、少し気づいたことがある、と日下部。お前が受け継いだモヂカラは何だ? どんな木だ? と訊ねられ「木は木だろ」と千明。やはりその程度か、と言う日下部は、モヂカラの根本を考えろと諭し、話しながら歩いて行く。竹林の端に立つ木立の前に出たところで「俺だけの文字」と呟いて木立を見上げる千明。お前のなかにある、お前の木を見つけろ、と取り上げていたショドウフォンを差し出す日下部。「いいのかよ」と、言う千明に、お前にはまず、基礎の基礎を教えるべきであった、と日下部。言い過ぎた面もあった……、と言うことだ、わかったな、と言われ、千明は苦笑しながら「もしかして謝ってんの??」と訊く。まあなと照れ笑いする日下部に、千明は「だったらこうだろ。ごめん」と頭を下げてみせる。日下部が、笑いながら頷くところに、千明のショドウフォンへ丈瑠からの通話が、アヤカシ、オカクラゲの再侵出を知らせる報だった。
- 千明が駆けつけると、シンケンジャーたちは、宙を浮遊するオカクラゲに翻弄されているところ。シンケングリーンに変身する千明は、“デカくて、強くて、それで……、すげー広がってる自由な木”と、自分の木をイメージしながらモヂカラを発動。“丈瑠たちと違ってていいんだ。俺のモヂカラは”と、ウッドスピアの柄を伸ばしながら、棒高跳びの要領で、オカクラゲの傍まで飛翔。そのまま木の字斬りで、オカクラゲの一の目を倒す。
- 駆け寄るシンケンイエローとブルーは、グリーンがみせたモヂカラを絶賛。そこに二の目のオカクラゲが再生。
侍戦隊はシンケンオーを出すが、二の目のオカクラゲも宙から攻撃してくる。シンケンレッドが大天空を出すと決断すると、シンケンピンクは「千明が使いなよ」と兜ディスクを差し出す。「え??」と驚くグリーンに「今の力があれば、あたしよりうまくできる」とピンク。「千明、行くぞ」とレッドに言われ、「よし!!」と兜折神を呼ぶグリーン。そのまま大天空に変形合体し、地上のシンケンオーと連携。二の目のオカクラゲを倒す。
- 駆け寄るシンケンイエローとブルーは、グリーンがみせたモヂカラを絶賛。そこに二の目のオカクラゲが再生。
- 第十幕でアヤカシとの戦いが決着した後のエピローグ的パートで、日下部彦馬は昼寝をしてる間に、顔に落書きをされる。激怒する日下部に「油断大敵。どんな時も気を抜くな、じゃなかったっけ??」と千明。やはりショドウフォンを預かると言う日下部から逃げ回る千明、というドタバタの内に、終幕。
- 白石茉子(演者=高梨臨)
- 「天」のモヂカラを継承しシンケンピンクに変身する。丈瑠の心理を敏感に察している面がある。
- 第十幕「大天空合体」で、白石茉子は、兜折神のディスクを預かることになる。「大きさはともかく、モヂカラを操るセンスは、茉子が1番だからな」と、丈瑠。
- 茉子に兜ディスクが預けられた後、猛稽古を始めた千明のことが侍戦隊の間で話題になり、花織ことはが「茉子ちゃんが使うのに反対してるんとちゃうで」言うと、「いいよ、いいよ」と茉子。「まぁ、あたしもまいったなぁ、とは思うけど。ここで譲ってもしょうがないしね」。
- 花織ことは(演者=森田涼花)
- 「土」のモヂカラを継承。侍戦隊では、最も若い。作中定かではないが、初登場時の雰囲気では、実家の家事手伝いをしていたのかもしれない。関西弁でしゃべる。病弱の姉に代わってシンケンジャーの修行をした。剣と笛以外取り柄が無いので頑張りたい、と常々言っている。
- 血祭ドウコク(スーツアクター=日下秀昭、声優=西凜太朗)
- 外道衆の首魁。たくましい大柄で、牙を剥いた赤鬼のような形相。荒武者のような性格で、いつも不機嫌なうえに怒りっぽい。六門船の船中では、いつも酒を呑んでいるが、骨のシタリ曰く、血祭ドウコクをなだめられるのは、ウスカワ太夫か酒だけ、とのこと。三途の川をあふれさせ、人間界を川底に沈めることが野望。
- 第九幕「虎反抗期」の序盤、三途の川の六門船を訪れるジュウゾウに、「はぐれ者のてめぇが、何にしに来た。こないだは太夫が世話になったな」と言うと、「シンケンレッドに手をだそうと思ってる。一応、話を通しに来た」と聞く。「何をいちいち。そんなもんは勝手にやれ」と答えるドウコクに、ジュウゾウは、シンケンレッドはお前をバラバラにして封印した志葉家投手の跡取りだぞ、と意外そう。「だからなんだ。目障りでしょうがないのは確かだが、三途の川をあふれさせれば奴らも水底。それが俺の意趣返しだ」と、ドウコク。
- 第十幕「大天空合体」には血祭ドウコクは登場しない。ウスカワ太夫曰く「ふて寝だ、この間から機嫌が悪い」。
- 第十一幕「三巴大騒動」冒頭のアーバンパートは、何事かを聞かされた血祭ドウコクが、「そいつはほんとかぁッ!?」と激怒する場面から始まる。ジュウゾウも志葉家の奴らも、腹のなかで俺を笑ってやがったんだ、とドウコクが荒れ狂うと、三途の川も荒れ、川原の石の隙間から、ナナシ、オオナナシが異常発生、続々と人間界に侵出して行く。
- ナナシの大群は、人間界で侍戦隊に迎撃されるが、戦う内に、ナナシたちは、口々に「シンケンレッド。おのれ、シンケンレッド。志葉の当主」と呻きながら、シンケンレッドだけを狙って集まっていく。この時、隙間を通して、血祭ドウコクの不気味な声も辺りに響く。「何?? この声?」とシンケンイエロー。「気持ち悪ぃなぁ」とシンケングリーン。シンケンレッドは、イエローから借りるシンケンマルに寅のディスクを装填、二刀流の火炎雷電の舞で、ナナシの大群を一掃。戦闘終了直後、変身を解いた谷千明は「何だよ、今の声」、花織ことはは「何か、ぞくっとした」と、不気味そう。「アヤカシ……、じゃあ、ないよね」と、白石茉子。「いや……、多分、血祭ドウコク」と言う丈瑠の言葉に、他のメンバーは驚く。「マジかよ……。何でそんな奴が急に」と、千明。
- その頃、三途の川の六門船では、酒を喰らったドウコクが酔いつぶれてふて寝してしまっていた。「四六時中、機嫌の悪い男だけど、ここまで荒れたのは久ぶりだねぇ」と、骨のシタリ。「まぁ、怒るのも無理もない。目の前に落とし穴がどうどうと開いているってことに、気づかなかったんだから」と、ウスカワ太夫。
- 第十二幕「史上初超侍合体」の序盤、血祭ドウコクは、呑んだくれて六門船船内の床で寝ている。その横で、ウシロブシが、シンケンレッドをやりそこねた、と骨のシタリに文句を言われ、聞いたほどの腕ではないらしいと、ウスカワ太夫にからかわれる。「邪魔が入った。あの半分人間のはぐれ者だ」と応えるウシロブシに、「ジュウゾウが??」と、太夫が三味線を止めると、ドウコクが突然起き上がる。「おいぃ。本当かぁ? そいつぁ。どういうわけだ!?」と言うドウコクに、「知らんな」とウシロブシ。「もし、又あれば、俺はこの仕事を降りる」と言うウシロブシから、ドウコクは大杯を取り上げ「させねぇよ!! させるかよぉッ!」と、一気にあおり、「ジュウゾウの野郎ぉッ!」と、床に投げつける。
この後、ドウコクは、自らナナシ連中を率い、ジュウゾウを襲撃。深手を負わせるが逃す。
- ジュウゾウ(スーツアクター=未詳、声優=唐橋充)
- 外道衆の間で「はぐれ者」「はぐれ外道」と呼ばれる、人外の剣士。妖刀、裏正を携えている。三途の川と人間界の間を行き来しているが、血祭ドウコクの配下ではない。
- 第九幕「虎反抗期」の序盤、三途の川の六門船に血祭ドウコクを訪れるが、「はぐれ者のてめぇが、何にしに来た」と問われる。「シンケンレッドに手をだそうと思ってる。一応、話を通しに来た」と、ジュウゾウ。ドウコクが、勝手にやれ、と言うと、ジュウゾウは「そうか、何も仕掛けてないのか」と意外そうな反応。「勝手に動いて邪魔をしては、と思ったが、心配する必要はないらしい」と、ジュウゾウ。
- 第九幕中盤、ジュウゾウは、「ドウコク、気づいていなかったとは驚きだ」と、志葉家伝承の封印の文字のことを独り語り。「わざわざ教えてやる必要もあるまい。その方が、邪魔にならぬ」と裏正を抜く。「肌が粟立つほどの戦いなくして、生きて三途の川に入ったかいがない」と、妖刀に語りかけるジュウゾウ。
- 第十一幕「三巴大騒動」で、ジュウゾウは、シンケンレッドがウシロブシと戦い、他のシンケンジャーたちがナナシの群れに足止めされている局面で、崖の上に現れ様子を覗う。
- シンケンマルを飛ばされたシンケンレッドが、ウシロブシの鬼刀二段斬りを喰らい、止めを刺されそうになるが、駆け寄るシンケンブルーとイエローが身代わりになる。シンケンレッドは変身が解けた池波流ノ介と花織ことはを庇おうとするが、歩み寄るウシロブシとの間に、シンケンピンクとグリーンが割って入る。「まとめてくたばれ」と、ウシロブシが、ピンク、グリーン、レッドに一撃を打ち込もうとするとき、割って入るジュウゾウ。
ジュウゾウはウシロブシの一撃をはじき返すと、返す刀で、ピンクとグリーンを跳ね飛ばし、そのままシンケンレッドに斬りつける。レッドはシンケンマルで受ける。「お前何しに来たッ!?」と言うウシロブシに、レッドと刀を交えたままのジュウゾウは、「このシンケンレッドは、俺が戦う相手でな。悪いが、ここは手を引いてもらう」と応じる。「もし、できないと言うのであれば」と言うジュウゾウに、「あれば??」と斬りかかるウシロブシ。ジュウゾウとレッドは、ほぼ同時に、斬撃を回避。レッドは、突き立っていたシンケンマルも掴み二刀に。そのままジュウゾウ、ウシロブシ、シンケンレッドは三つ巴の斬り合いに移っていく。入り乱れる斬り合いは、互いに切先を突きつけあう三すくみに陥るが、まずウシロブシが剣を引き間合いを取る。ウシロブシは「残念だが水切れだ。ジュウゾウ、ドウコクが怒るぞ」と言い残し、隙間から三途の川へ引いていく。
ウシロブシが去った後「お前、どうして俺を」というシンケンレッドに、「腕のある者と戦うことだけが望みだ。俺も」とジュウゾウは再度刀を構え「この裏正も」と語る。2人は1対1の斬り合いに入るが、裏正で左肩に斬りつけられたレッドは、二刀の片方を取り落とし、後ずさって岩にぶつかり膝をつく。ジュウゾウは、いったん刀を引き「お前、いつもと違うな」と呟くと、「俺が望んでいた戦いはこんなものではない」と歩み寄り、うずくまっているレッドに裏正の切先を突きつける。ジュウゾウは裏正の背(逆刃)を一閃させ、レッドの背後の大岩を両断。「次はこの斬れ味を味わってもらう」と言いざま、手近の崖の上まで飛翔。崖の上で人間体に変わり「シンケンレッド、この貸しは大きい。いずれ、俺の満足する果し合いをしてもらう」と告げる。その姿に、「あいつ、確か」と、第九幕に登場した腑破十臓とジュウゾウが同一と気づく千明と茉子。「おい、お前、何なんだ。外道衆かよ!?」と訊く千明に「俺は、腑破十臓。それだけだ」と告げ、十臓は去って行く。
- シンケンマルを飛ばされたシンケンレッドが、ウシロブシの鬼刀二段斬りを喰らい、止めを刺されそうになるが、駆け寄るシンケンブルーとイエローが身代わりになる。シンケンレッドは変身が解けた池波流ノ介と花織ことはを庇おうとするが、歩み寄るウシロブシとの間に、シンケンピンクとグリーンが割って入る。「まとめてくたばれ」と、ウシロブシが、ピンク、グリーン、レッドに一撃を打ち込もうとするとき、割って入るジュウゾウ。
- 第十二幕「史上初超侍合体」中盤、三途の川の川原を行くジュウゾウは、突然、ナナシ連中に襲撃される。続いて、「半端もんの手前ぇを、自由にさせてやってる俺の恩も忘れて、好き勝手やってくれたらしいな」と、血祭ドウコクも襲撃。「シンケンレッドのことか」と、ジュウゾウ。「あいつは俺に見合う腕を持っている。どうせ消すつもりならこの俺に」と言いかけるが、「しゃらくせぃっ!!」と、ドウコクはジュウゾウを三途の川に蹴落とす。「やむを得ん」と裏正を逆刃で構えるジュウゾウ。「気に喰わねぇんだ、手めぇは。しばらく出てくんじゃねぇッ!!」と、ドウコクが放つ「縛」の力に自由を奪われるジュウゾウ。ナナシ連中に次々斬撃を受けるが、なんとか倒すと、人間体に変化し、ドウコクの縛りを脱す。「こういう時に、半分、人間なのは便利だな」と嘯くと、川に潜り逃げていく。「気に喰わねぇぜ、ジュウゾウ」とドウコク。
戦いを六門船から見物していた、骨のシタリは「逃げたよ、人間じゃ、ドウコクの縛りは効かないからねぇ」と言う。「でも、当分は動けない」と、ウスカワ太夫。
- 腑破十臓(演者=唐橋充)
- ジュウゾウの人間体の姿。第九幕「虎反抗期」から、たびたび侍戦隊と外道衆の闘いの場に姿を現し、シンケンレッド、志葉丈瑠の実力を見定めようとするかに振舞う。
- 腑破十臓の名は、第九幕序盤、ジュウゾウの姿で六門船を訪れたとき、血祭ドウコクのセリフで作中初めて語られる。画面への初登場は、第九幕のAパート終盤。
- 第九幕Bパートでは、シンケンレッドと操られたブルーとの戦いを見守る、茉子、千明、ことはの前に「勝負あったな」と言いながら、突然登場。「何あんた?」と問われても「誰でもいい」と応え、勝負はブルーの負けで終わると予告。
十臓は、シンケンジャーたちに解説を聞かせながら勝負を観戦。「反」のモヂカラを込めた一撃でブルーが倒されると「やはりな。あの腕。俺の目に狂いはなかった」とレッドを見据える。
- 第十幕「大天空合体」で、岩陰のような場所で休息する腑破十臓は、妖しい鞘鳴りをさせる裏正を手にとり「焦るな裏正」と話しかける。「ようやく見つけた相手だ。しかるべき、時と場所で」と言いながら、シンケンレッドのイメージを想起していく。抜刀し、刃を見つめながら「骨の髄まで斬りあえるよう」と、呟く。
- 裏正
- ジュウゾウ(腑破十臓)が携えている妖刀。背に、火焔をデザイン化した特徴的な飾りが断続。人間体の腑破十臓の姿の時は、通例、袋に入れ携えている。
- 第十幕「大天空合体」で、ジュウゾウは裏正の背で大岩を両断し「この裏正、逆刃こそが本性でな」と、シンケンレッドに語る。
- ウスカワ太夫(スーツアクター=蜂須賀祐一、声優=朴ロ美)
- 薄皮太夫。花魁言葉のような感じで話す女の外道衆。いつも三味線を抱え、気ままに爪弾く。三味線の音故に、血祭ドウコクに目をかけられている。ドウコク配下のアヤカシとはそりがあわないことが多く、しばしば反目しあう。その理由が明らかにされるのは、物語が少し進んだ時点のことになる。
- 第九幕「虎反抗期」の序盤、血祭ドウコクがジュウゾウに「こないだは太夫が世話になったな」と告げる(第八幕「花嫁神隠」でジュウゾウがウスカワ太夫を侍戦隊の攻撃から救った)。太夫は「誰が世話になどなるか」と文句を言うが、「そんな話をしに来たんじゃない」と、ジュウゾウに遮られる。
- 第十幕「大天空合体」で、ウスカワ太夫は、嬉しそうに志葉家関連の古文書を調べている骨のシタリに含み笑い。「腑破十臓の戯言、そこまで気にすることか??」と言うが、シタリは「私たちが見落として何か」があると思う、と応える。
- 第十一幕「三巴大騒動」冒頭のアーバンパートで、ウスカワ太夫は、骨のシタリが血祭ドウコクに話した志葉家の秘事について「なるほど。ジュウゾウが不思議に思うのも当然か」と、口を挟む。
- 第十二幕「史上初超侍合体」の序盤、ウスカワ太夫は、シンケンレッドをやりそこねたウシロブシに文句を言う骨のシタリに続き、「聞いたほどの腕ではないらしい」と、三味線を爪弾きながらからかう。ウシロブシが「邪魔が入った。あの半分人間のはぐれ者だ」と言うのを聞き、「ジュウゾウが??」と驚く太夫。
- 骨のシタリ(スーツアクター=大林勝、声優=チョー)
- 三途の川で、血祭ドウコクの側近のような立場にいるアヤカシ。体格は小柄だが、イカのように長大な才槌頭を持つ。言葉遣いや物腰には、初老の老人のような気配がある。実際、他のアヤカシから「ご老体」と呼ばれることも。
- 第九幕「虎反抗期」で、ジュウゾウはシンケンレッドに手を出すと、血祭ドウコクに断るため、六門船を訪れる。ドウコクは「好きにすればいい」と言うが、シタリは、何故、ジュウゾウがわざわざ断りを入れに来たかを気にかける。
- 第十幕「大天空合体」では、骨のシタリは、三途の川に流出していたらしい志葉家関係の古文書を集め、調べている。腑破十臓が言葉を濁し告げずに去った言動に「私たちが見落として何か」があると考え探っているのだが、「志葉家の古い資料がこんなにあったとはねぇ。これを調べるのは骨だよぉ」と嬉しそうだ。
- 第十一幕「三巴大騒動」冒頭のアーバンパートは、骨のシタリが調べた志葉家の秘事のことを血祭ドウコクに報告した直後から始まる。そいつはほんとかぁッ!? と、激怒するドウコクに、シタリは、ジュゾウが志葉家当主に仕掛けないことを不思議がっていた(第九幕)のが気になったと語る。「わざわざ、封印って言ったのがひっかかったんだよ。それで古い書物を引っ張り出して調べてみたら」。
- 第十二幕「史上初超侍合体」の序盤、骨のシタリは、「なんだいなんだい。ウシロブシともあろう者がシンケンレッドをやりそこなうとはねぇ」と、本人に文句を言う。
- ヒトミダマ
- 第九幕「虎反抗期」に登場するアヤカシ。芝居がかったセリフが多く、目立ちたがりな印象。
- でしゃばりな性格でもあり、六門船に押しかけると、ジュウゾウを前座呼ばわりし、自分が真打だと称す。骨のシタリに、用はない、と言われるが、自慢げに虎折神を披露する。
- 人間世界に侵出すると、侍戦隊に「我こそは三途の川、随一の実力者」と称し、さらに虎折神を見せつける。戦闘になると、虎折神を操っているのと同じ術をシンケンブルーにかける(実際はグリーンを狙ったのだが、ブルーが身代わりに)。ヒトミダマは操っているブルーと虎折神に、シンケンジャーたちを攻撃させる。シンケンレッドにも術をかけようとするが、これは「反」のモヂカラに防がれる。しかし、ブルー以外のシンケンジャーが撤退したところで、ヒトミダマも水切れになり三途の川に撤収。
六門船では、ウスカワ太夫が、さっさとシンケンブルーの腹でも切らせればいいと言うが、ヒトミダマは「絶対やらぬことをさせてこそ、操りの醍醐味」と見栄をきり、「御大将もご見物、ご見物」と言いながら、再出撃していく。 - 第九幕Bパートで、ヒトミダマは、術で操るシンケンブルーとの勝負を丈瑠に強いるが、「反」のモヂカラを込めた一撃で、ブルーの術を解かれてしまう。悔しがるヒトミダマは虎折神を呼び「こやつらを潰せ」と、シンケンブルーも復した侍戦隊に仕掛ける。しかし、虎折神にかけた術もシンケンレッドに破られたところで、他のシンケンジャーにモヂカラの連撃をくらい一の目は敗れる。そのまま二の目で巨大化復活するが、シンケンレッドの乗り込んだ虎折神に追い込まれ、侍武装したトラシンケンオーに倒される。
- 虎折神
- 外道衆と侍戦隊との過去の戦いで、行方知れずになっていた折神。白虎を模したような形をしている。血祭ドウコクが封印された時に、地割れにはまり動けなくなっていた。
- ヒトミダマは、はじめ、侍戦隊に、自分が虎折神を助けてやったので、今では飼い犬同然、と語るが、実際は術をかけて操っていた。ヒトミダマと侍戦隊との戦いでは、虎折神は命じられるままシンケンジャーを攻撃する。
第九幕Bパートで、虎折神は大変化した獅子折神と闘うが、弱った隙に乗り込んでくるレッドが「反」のモヂカラを振るうと、ヒトミダマの術から解放される。その後、変形して、侍巨人シンケンオーを侍武装。「トラシンケンオー」にモード・チェンジさせ、ヒトミダマの二の目を倒す。
- シンケンピンク(スーツアクター=人見早苗、神尾直子、声優=高梨臨)
- 白石茉子が「天」のモヂカラを身に纏い変身。シンケンマルを、バトルファンのような武器、ヘブンズファンに変化させて戦う。繰り出せるモヂカラの大きさはともかく、扱うセンスは侍戦隊で一番、と言われる。
- シンケングリーン(スーツアクター=竹内康博、声優=鈴木勝吾)
- 谷千明が「木」のモヂカラを纏って変身。シンケンマルを、槍型の武器、ウッドスピアに変化させて戦う。
- シンケンイエロー(スーツアクター=橋口未和、声優=森田涼花)
- 花織ことはが「土」のモヂカラを纏って変身。シンケンマルを、大手裏剣のような武器、ランドスライサーに変化させて戦う。
- 「反」のモヂカラ
- 第九幕で丈瑠が使うモヂカラ。ヒトミダマの術をはじき返す。さらに、モヂカラを込めたディスクをシンケンマルに使い、すでにかけられていたヒトミダマの術も破る。
- 水切れ
- アヤカシは、三途の川から長時間離れていると、川の水が水切れになり、体が硬化する感じで戦えなくなる。
- 獅子折神
- 丈瑠が扱う折神。普段は将棋の駒のような五角形、厚みはあるが、片掌に乗るくらいの大きさ。この形態の時は「火」の文字が上部に赤色で大書きされている。展開すると、唐獅子を模したからくり人形のような形状に。ある程度、自律的に動き、丈瑠の命令に従う。折神大変化で、巨大化した後、侍巨人シンケンオーの、概ね胴から上の部分に変形し合体。
- シンケンオー(スーツアクター=福沢博文)
- 第二幕「極付粋合体」で初登場する侍巨人。獅子折神以下、5体の折神と、5人のシンケンジャーとが一体になって出現。折神に乗り込んだシンケンジャー(通例レッド)が、ショウドウフォンで「合」の文字を宙に書きつつ「サムライ合体!!」と称すと、変形合体が作動。合体直後に、5人のシンケンジャーが「シンケンオー、天下統一!!」と唱和する。
- 第九幕「虎反抗期」では虎折神で侍武装し、トラシンケンオーに。
- 第十幕「大天空合体」で、シンケンオーは宙を舞うアヤカシ、オカクラゲの二の目と戦うため、大天空と連携攻撃。この時、地上に残るシンケンオーには、シンケンピンクとイエローが残っているだけだが、侍巨人に合体したまま、両腕をコンパクト状にたたんで、肩の位置からモヂカラのビーム(?)を撃つ、という珍しい攻撃をしている。
- 第十二幕「史上初超侍合体」で、シンケンオーは池波流ノ介の発案で、大天空と超合体、テンクウシンケンオーにモードチェンジし、飛行能力を見せる。
第十幕「大天空合体」
- 秘伝ディスク
- 秘伝の技の特殊な力が折り込まれたディスク形アイテム。主にシンケンマルにセットし回転させて、効力を発揮させる。各シンケンジャーが持つ技ディスクも、秘伝ディスクではある。
- 第十幕「大天空合体」の冒頭では、日下部彦馬が、兜折神、舵木折神、虎折神を、それぞれ織り込んだ3枚のディスク(兜ディスク、舵木ディスク、虎ディスク)を「秘伝ディスク」と呼ぶ。第十幕で侍戦隊が始めにアヤカシ、オカクラゲと交戦する時、シンケンブルーはこれら3枚のディスクのことを「特殊ディスク」とも呼んでいる。
- 虎ディスク
- 元々は、丈瑠が、アヤカシ、ヒトミダマの術を破るため「反」のモヂカラを込めて用意したディスクだった。第九幕「虎反抗期」で、虎折神を術から解放したときに、「寅」のモヂカラのディスクに変化。
- 大天空
- 兜折神、舵木折神、虎折神が変形合体した折神。第十幕「大天空合体」で初登場。
巨鳥を模したような形状の飛行型で、志葉家に伝承された古文書には、始祖鳥のような絵姿で記されていた。 - 第十幕「大天空合体」の冒頭、丈瑠は、大天空を活用するため、3体の折神の乗り手を決める、と侍戦隊に告げ、虎折神は自分が、舵木折神は池波流ノ介が扱うとする。「では、兜は」と流ノ介が訊くと、日下部彦馬が「殿と検討し、茉子に乗ってもらうこととした」。白石茉子、当人は「あたし!?」と意外そうだが、隣に座していた谷千明は期待が外れてガックリ。「しっかり頼むぞ」と言われる茉子は、「はい、わかりました」と兜ディスクを受け取る。
第十幕のクライマックスでは、シンケンピンクが、モヂカラのステップアップをしたグリーンに兜ディスクを差し出し、直後にレッドも追認。兜ディスク、兜折神は、谷千明に預けられることになる。 - オカクラゲ
- 第十幕「大天空合体」で人間界に侵出するアヤカシ。頭に和傘を被ったような姿をしているが、実は頭頂から、傘のような部位が生えている。傘のような部位を開くと、自在に宙を浮遊することができる。
- 携えている槍のような武器から、黒雲を出すと、にわか雨を降らせることが出来る。この雨に打たれる人間は、強い絶望感に囚われ、激しく自分を卑下するようになる。(槍からは黒雲の他に、光球弾なども撃ち出す)
オカクラゲの被害者を観た時、丈瑠は「何だこれは」と唖然。谷千明は「みんな流ノ介になってるよ」と、白石茉子は「ヤバイ。ギュってしてあげなきゃ、ギュって」と呟く。 - オカクラゲは被害者のことを「自分に絶望し、希望を喪う。なんて素晴らしい」と侍戦隊に自慢。妙に礼儀正しい話し方をするアヤカシだが、慇懃無礼というようりは、むしろ他人への関心が極端に薄いタイプ。びしょぬれで六門船に戻り「今回もいい雨でした」と独り満足。骨のシタリからは「本が濡れるじゃないか」と、ウスカワ太夫からは「お前の湿気で、三味線の音色が悪い」と嫌われるが、オカクラゲはさほど気にしない様子。
- 第十幕Bパートで再侵出したオカクラゲは宙に浮いて侍戦隊を翻弄する。しかし、駆けつける千明がシンケングリーンに変身し、開眼した「俺の木」のモヂカラでウッドスピアを使うと、一の目を倒されてしまう。
二の目も宙を浮遊するが、シンケンオーと大天空の連携に倒される。 - モヂカラ
- 文字を書くことで、色々不思議なことを実現する不思議な力。
- 第十幕「大天空合体」で、日下部彦馬に「モヂカラとは何だ」と訊かれる谷千明は「文字の力だろ。……その、ほら、外道衆を戦うための」と応える。「戦うのは、侍としての使命。そうではなく、もっと根本を考えろ」と、日下部は、「文字の力とは、その文字が持つ意味そのものだ。使う者が意味を理解し、強く想うことで力を持つ。お前のモヂカラは殿の『火』や、流ノ介の『水』とは違う。当然、茉子やことはとも違う、お前だけの文字だ」と教える。目の前の木立を見上げる千明に「お前のなかにある、お前だけの木を見つけろ」と日下部、「お前にはまず、基礎の基礎を教えるべきであった」とも告げる。
オアカクラゲの再侵出をショドウフォンで知らされる千明は、戦いの場に駆けつけ、“俺のモヂカラ……、デカくて、強くて、それで……、すげー広がってる自由な木”とイメージしつつ、ウッドスピアを振るう。
第十一幕「三巴大騒動」
- 第十一幕「三巴大騒動」は、第十二幕に続く続きものの構成(オーラスのナレーションに依る)。
- ナナシ(スーツアクター=中川素州、佐藤太輔、的場耕二、清家利一)
- 三途の川で生まれた化け物の内、外道衆の下級戦士。一群を呼ぶ時は「ナナシ連中」。アヤカシと異なり、命は一つずつしか持っていないらしい。
- 人間の言葉についての言語能力は低い。あるいは耳にした言葉をオウム返しに反復しているだけかもしれない。外道衆の間では、報告などもこなしているようだ。
(第十一幕「三巴大騒動」には、大量発生したナナシ連中が、口々に三途の川にいる血祭ドウコクの思念を言葉にしながら、シンケンレッドを襲う場面がある) - 第十一幕では、血祭ドウコクが、怒りの感情で荒ぶると、それに呼応し、三途の川の川原(賽の河原)で石の隙間からナナシ連中が生じる様子が描かれる。
スキマセンサーの反応に応じて出撃する侍戦隊は、Aパートでナナシ、オオナナシの異常な大群に立ち向かう。
- オオナナシ(スーツアクター=中川素州、佐藤太輔、的場耕二、清家利一)
- 巨大サイズのナナシ。一群を呼ぶ時は「オオナナシ連中」。外道衆のアヤカシが呼ぶと、例えば、高層ビルの間の隙間などから出現。二の目の外道衆とほぼ同サイズ。第二幕で初登場。巨大タイプの下級戦闘員が随時登場する例は、侍戦隊以前のスーパー戦隊シリーズでは他に観られない。
- 第十一幕「三巴大騒動」では、血祭ドウコクが、怒りの感情で荒ぶると、それに呼応し、三途の川の川原(賽の河原)で石の隙間から大量発生する。
- スス木霊
- 六門船の船内に、天上からぶら下がる小妖怪。人間の頭部に似た小さな毛玉が、植物の蔓のようなもので、ぶら下がる。第十一幕「三巴大騒動」で、封印の文字について知らされた血祭ドウコクが激怒した後、群れて発生した。
- 握りつぶされると、粉煙のように散って消えるので、あるいは黴のような菌糸状の生態なのかもしれない。
- 周囲で聞かれたセリフを鸚鵡返しに口にしたり、ウスカワ太夫が奏でる三味線の音を口真似したりする。どの程度の知能があるかはわからないが、ウスカワ太夫に懐く様子も見せるので、ペットなど小動物程度の知能は有すのかもしれない。
- 封印の文字
- 志葉に伝承される秘伝の文字。血祭ドウコクのようにパワフルなアヤカシも封印することが可能だが、複雑な文字で使いこなすのは困難。志葉家の人間にしか使えないとされている。
- 第十一幕「三巴大騒動」で、大量のナナシ連中が丈瑠だけを狙って襲ってきたと知らされた日下部彦馬は、どうやら血祭ドウコクが封印の文字のことに気づいた、と察す。「これは極めて秘密のことなれば、お前たちも聞いてはおらんだろう」と、日下部はシンケンジャーたちに、封印の文字について語り聞かせる。
先代志葉家当主、雅貴は、充分使いこなせない封印の文字で、血祭ドウコクを不完全に封印。ドウコクは、バラバラに吹き飛んだが、志葉雅貴は、この時に戦死した。 - 外道衆の側では、ジュウゾウ以外は、封印の文字のことは知らず、骨のシタリですら「かつてドウコクがやられたのを、ただの力ずくだと思っていた」。「まさか志葉家にそんな力がねぇ」と、シタリ。
- 志葉家
- 三百年ほど、代々、外道衆と戦い続けてきた侍の家門。「火」のモヂカラを受け継いでいる。シンケンジャーのモヂカラを継承する他の家門に主家として仰がれてきた。
- 志葉雅貴(演者=津田寛治)
- 志葉家、先代(第十七代)当主。志葉丈瑠が子供の頃、外道衆との戦いで戦死していた。
- 先代侍戦隊
- 志葉雅貴と共に戦ったシンケンジャーの戦隊。現在のシンケンジャーたちの親がメンバーだった。
- かつて、血祭ドウコクと率いるナナシ連中の大群に志葉の館を突然襲撃され、全滅近くまで追い込まれた。志葉雅貴が不完全な封印の文字を使い、戦死したのは、この時のことだ。
(この戦いの様子は、第十一幕「三巴大騒動」で回想的に描かれる) - 六門船
- 三途の川で、血祭ドウコクが拠点としている船。大型の和船のような外形だが、難破船のように荒んだ様子。中もがらんとした印象が強い。
- 第十一幕「三巴大騒動」では、かつて血祭ドウコクが不完全に封印されたとき、呼応して、六門船が三途の川に沈んでいった様子が、回想的に描かれる。
- ウシロブシ
- 第十一幕「三巴大騒動」、第十二幕「史上初超侍合体」に登場するアヤカシ。骨のシタリ曰く「アヤカシ共にさえ恐れられている、あの一番物騒な奴」。
- 封印の文字の秘密を知った骨のシタリは、志葉丈瑠の抹殺をウシロブシに命じる。
- 第十一幕Bパートで、ウシロブシは、スキマセンサーを逆用し、侍戦隊を人気の無い場所におびき出す。駆けつけるシンケンジャーたちに「シンケンレッドと言うのは、どれだ?」と、ウシロブシ。歩み出る丈瑠に「お前か。恨みは無いが、お前が封印の文字を使えるようになっては、困るらしいのでな。お前にはここで死んでもらう」。
- 「出来るならやってみろ!」と、独り駆け出す丈瑠がシンケンレッドに変身。ウシロブシは鬼刀二段斬りでレッドを追い詰め、助け寄るシンケンブルーとイエローを撃破。変身が解けた池波流ノ介と花織ことはを庇おうとするシンケンレッドに歩み寄るウシロブシ。今度はシンケンピンクとグリーンが割ってはいるが、ウシロブシは「まとめてくたばれ」一撃を打ち込もうとする。ここに割って入るジュウゾウに、「お前何しに来たッ!?」と、ウシロブシ。「このシンケンレッドは、俺が戦う相手でな。悪いが、ここは手を引いてもらう。もし、できないと言うのであれば」と言うジュウゾウに、「あれば??」と斬りかかるウシロブシ。ウシロブシとジュウゾウ、レッドは、三つ巴の斬り合いに移っていく。入り乱れる斬り合いは、互いに切先を突きつけあう三すくみに陥るが、まずウシロブシが剣を引き間合いを取る。「残念だが水切れだ。ジュウゾウ、ドウコクが怒るぞ」とウシロブシは言い残し、隙間から三途の川へ引いていく。
- 第十二幕「史上初超侍合体」の序盤、ウシロブシは六門船で、シンケンレッドをやりそこねた、と骨のシタリに文句を言われ、聞いたほどの腕ではないらしいと、ウスカワ太夫にからかわれる。「邪魔が入った。あの半分人間のはぐれ者だ」と言うウシロブシに、太夫は「ジュウゾウが??」と三味線を止める。「もし、又あれば、俺はこの仕事を降りる」と言うウシロブシに、ドウコクは「させねぇよ!! させるかよぉッ!」、「ジュウゾウの野郎ぉッ!」と、怒りをあらわに。
この後、ドウコクは、自らナナシ連中を率い、ジュウゾウを襲撃。深手を負わせるが逃す。骨のシタリに「今度こそ、シンケンレッドを頼むよ」と言われ、ウシロブシも「心得た」と応じる。 - 第十二幕Bパートは、冒頭から、ナナシ連中を率いて、人間界に侵出したウシロブシが、暴れる場面から描かれる。ウシロブシは「あれだけやられた後だ、少し派手にやらねば、シンケンレッドも怯えて出てこんかもしれぬ」と嘯くが、たまたま近くにいた丈瑠は、駆けつけ、脅かされている子供たちを救う。
「結構早かったな」と、ウシロブシ「シンケンレッド、お前も死にゆく身だ、ガキ共の心配をしている余裕はあるまい」。丈瑠は保育士たちに声をかけ、子供たちを逃がすよう告げると「外道衆」と、ウシロブシを睨みつけ「お前たちだけは」。大笑いするウシロブシが「その顔、今度はお前が俺を狙うのか」と言うところで、「倒す!!」と丈瑠。「ふんっ。死ねっ」というウシロブシの言葉を合図に、ナナシ連中が丈瑠に斬りかかる。- 斬り合う丈瑠に「無駄な足掻きだシンケンレッド」と、ウシロブシはせせら笑うが、他のシンケンジャーたちが駆けつけ参戦。命を預けあう確認の言葉を交わし、侍戦隊は変身。「心中したいならそれでもいい。仲良く死ぬがいい」と余裕のウシロブシだが、まず、ナナシ連中がシンケンマル五重の太刀に蹴散らされる。「手めぇら、絶対許せねぇ」と吼えるウシロブシだが、シンケンジャーの連撃を受ける。鬼刀二段斬りも、連携で受けきられ、大筒モードの烈火大斬刀から放たれる寅五輪弾で、ウシロブシの一の目は倒される。
- 二の目で巨大化再生するウシロブシは「おのれ、この俺がこのような姿にぃ」。シンケンオーをみると「所詮、折神の寄せ集め」とオオゾラナナシ連中を呼び、空から支援させ、自らも斬りつける。追い詰められるシンケンオーに「どうした、やはり見かけ倒しか」と、余裕を見せるウシロブシだが、流ノ介の発案で、シンケンオーは大天空と超合体。テンクウシンケンオーは、まずオオゾラナナシ連中を蹴散らし、二の目のウシロブシもダイシンケン天空唐竹割で倒す。
第十二幕「史上初超侍合体」
- 第十二幕「史上初超侍合体」は、第十一幕から続く続きものの構成。
- 縛りの力
- 血祭ドウコクが、アヤカシの自由を奪う力。掌から、黒い風のような瘴気を発すると、一瞬「縛」の文字の連なりのようになり、アヤカシを縛り上げる拘束帯のようになる。第十二幕「史上初超侍合体」で、ドウコクはジュウゾウ相手に、この力を振るうが、ジュウゾウは、人間体に変化して逃れる。骨のシタリ曰く「人間じゃ、ドウコクの縛りは効かないからねぇ」。
- オオゾラナナシ
- 翼を持つ飛行型のオオナナシ。第十二幕「史上初超侍合体」で初登場。二の目で巨大化再生したウシロブシに呼ばれ、高層ビルの隙間から、群れで登場。
- テンクウシンケンオー
- 池波流ノ介の発案で、シンケンオーに大天空を合体させた侍巨人。第十二幕「史上初超侍合体」で初登場。空を飛び、ダイシンケン天空唐竹割りを必殺技にする。
- 大天空を出した後、シンケンオーに登場したシンケンジャーの全員が、一斉に「超」のモヂカラを振るって、変形合体、「超侍合体」する。
- 「いいねぇ、先祖の受け売りばかりじゃなぁ」と千明、「初めてお前に感心したぞ」と丈瑠、「すごい!!」とことは。初登場時、シンケンジャーたちの評判は上々だった。
- 用語
- 解説
関連する用語
- 「侍戦隊シンケンジャー」
- 『侍戦隊シンケンジャー』OP。
- 「侍戦隊シンケンジャー」歌詞(歌詞ナビ)
- 作詞=藤林聖子、作曲=YOFFY、編曲=Project.R(大石憲一郎、サイキックラバー)、アーティスト=サイキックラバー(Project.R)
- 「四六時夢中シンケンジャー」
- 『侍戦隊シンケンジャー』ED。
- 「四六時夢中シンケンジャー」歌詞(歌詞ナビ)
- 作詞=藤林聖子、作曲=高取ヒデアキ 、編曲=Project.R(籠島裕昌)、アーティスト=高取ヒデアキ(Project.R)
- 「四六時夢中シンケンジャー 〜劇場版〜」
- 『侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦』ED。
TVでは第二十一幕(21話)〜第二十七幕(第27話)で使用。
- 作詞=藤林聖子、作曲=高取ヒデアキ 、編曲=Project.R(籠島裕昌)、アーティスト=高取ヒデアキ(Project.R)とシンケンジャー(キャスト)
- HERO CLUB 侍戦隊シンケンジャー VOL.1
- 東映ビデオからリリースされている、児童向けのダイジェスト再編集版HERO CLUBシリーズの、侍戦隊シンケンジャー第一弾。2009年5月リリース。
- スタッフ
- TVシリーズのスタッフ。
- 原作=八手三郎
- プロデューサー=佐々木基(テレビ朝日)、宇都宮孝明、大森敬仁(東映)、矢田晃一、深田明宏(東映エージエンシー)
- 製作=テレビ朝日、東映、東映エージエンシー
- ラインプロデューサー=谷口正洋
- 監督=中澤祥次郎、諸田敏、竹本昇、渡辺勝也、加藤弘之、長石多可男、柴崎貴行
- 撮影=鈴木啓造、岡本純平
- 助監督=加藤弘之、安養寺工、荒川史絵、須上和泰
- アクション監督=石垣広文、竹田道弘(ジャパンアクションエンタープライズ)
- 特撮監督=佛田洋(特撮研究所)
- 脚本=小林靖子、大和屋暁、石橋大助
- キャラクターデザイン=篠原保
- 楽曲製作=高木洋
- マンガ版
- 『侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦』
- 2009年8月公開の劇場版映画。『劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー』の併映作品。
- 『侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー 銀幕BANG!!』
- 2010年1月公開の劇場版映画。
メモ
- 観どころ
- 第九幕「虎反抗期」
- Bパートで、かなり長尺のシンケンレッドとブルーとが斬りあう殺陣。劇中の腑破十臓の解説を「なるほどね」と思わせるだけの魅せ場になってる。
- エピローグ相当パートで、丈瑠が流ノ介に「ごめん」て一言言うとき、脇にいる、茉子、千明、ことはらの、ビックリしたりキョトンとしたりしてる表情がいい。この脇役のお芝居は、その後、歩み去って行く丈瑠を負っていくとこまで続いていく感じの編集構成で、観どころ。
- 第十幕「大天空合体」
- 第十幕は、谷千明のステップアップ、大天空による侍戦隊のパワーアップ、シンケンレッドへの闘志をみせる腑破十臓、封印の文字の伏線導入(これは第九幕から)、と盛りだくさんで面白い。
- 第十一幕「三巴大騒動」
- 第十一幕は、封印の文字の秘密を察す外道衆、丈瑠に集中する攻撃に体を張って丈瑠を護ろうとするシンケンジャーと、それを避けたがる丈瑠、さらに丈瑠との戦いを求めて参戦するジュウゾウと、盛りだくさんで面白い。
- 第十二幕「史上初超侍合体」
- 第十二幕は、第十一幕からの続き物で、続き物ならではのドラマが、まず面白い。また、変身前のシンケンジャーの集団戦闘画面、そこから続く変身後の殺陣も、長尺の魅せ場になってて、盛りだくさん。
- ドラマの面では、白石茉子を演じる高梨臨、谷千明を演じる鈴木勝吾の、セリフが無いときの所作や表情がいい。池波流ノ介を演じる相葉弘樹の目ヂカラもなかなか。日下部彦馬を演じる伊吹吾郎は普通にちゃんとしたお芝居をしている。志葉丈瑠の松坂桃李、花織ことはの森田涼花は役に恵まれた感じか(?)。
- 変身前の集団戦闘でも、白石茉子、谷千明、池波流ノ介が光ってる。花織ことはもいい。殺陣の切れは、本当のことを言うと今いちで、編集構成で盛り上がってるんだけど、それでも殺陣もうまくなってる。
- 変身後のウシロブシ対侍戦隊の殺陣は圧倒的な面白さ。
- 三途の川のシーンで、ジュウゾウ対血祭ドウコクの場面も面白い。川の中から現れ、岸に駆け上がるドウコクとか、良く観ると実は無茶なことをサラサラとやってて、迫力がある。
- その他
- 第十二幕「史上初超侍合体」の物語内時間は「端午の節句(菖蒲の節句)」の日の事。第十一幕「三巴大騒動」のラストで、丈瑠が志葉の館を抜け出すのは、その前夜の事になる。
- 所どころに入る鯉幟のカットは、紙飛行機の回想シーンと重なる連想が豊か。
商品情報
DVD
- DVD 侍戦隊シンケンジャー 特集
東映ビデオの紹介記事(特集コンテンツ)。
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ゲームソフト
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話題まとめ
#もの書きチャットでの実況感想コメント集
- 自然発生的にはじまったもので、原則キー局での放映時(テレ朝キッズの時間)#もの書き外典のチャンネルでやるらしい。
- リンクは1時間ごとなので、『侍戦隊シンケンジャー』についてのコメントは、少し後、7:30頃からになってます。
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write-ex1/2009/04/20090412.html#070000
- 第九幕「虎反抗期」分
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write-ex1/2009/04/20090419.html#070000
- 第十幕「大天空合体」分
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write-ex1/2009/04/20090426.html#070000
- 第十一幕「三巴大騒動」分
- http://www.cre.ne.jp/writing/IRC/write-ex1/2009/05/20090503.html#070000
- 第十二幕「史上初超侍合体」分
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