“『おかゆ』/江島一二三”講評

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“『おかゆ』/江島一二三”講評

お題『寝込んでいるところに彼女がおかゆを作りに』に寄せられた作品についての講評です。

該当作品

講評

[ENO] 一読して最初に感じるのは、「切なさ」だよね
[ENO] まあ、話の視点がコロコロ変わるとか、時間が戻るとか、そういった部分での、いわゆる「めまい感」が生じるけど
[ENO] それが欠点となるかどうか、というのは「狙ってやっているのかどうか」という部分につながるわけで
[ENO] この物語の根底に流れる「切なさ」というものを表現するにおいては、瑕疵と呼ぶほどのものではないとおもう
[ENO] では、その手法が「効果的」かどうか、という点においては、もうちょっと料理のしかたがあったかもしれない
[ENO] この物語は実に技巧的に凝っている
[ENO] 読んで笑う物語ではない、
[ENO] 一組の男女の情念のやり取りを書いているわけで、物語の目的というか、狙いは「しみじみ」という部分ではないかと思うのだな(w
[killist] 空気を味わう類かぁ
[ENO] つまりは、共感を味わうわけだ
[killist] やっぱり大人社会で切れ味の鈍ったツンツンがメインなんだろうなぁ。
[ENO] 意味不明だなあ(w 具体的にどういうこと
[killist] なんだろ。「あるある」的な現実感。
[ENO] それは、共感を呼ぶための道具立てだよね
[killist] ふうむ
[ENO] 冒頭の部分はそういった「あるある感」で進む [
Falshion] ただいもー。
[dain] 現実感あるはなしじゃあないでしょう?恋人のしたいにおかゆをたべさせて、自分も後を追う女性って
[dain] ああ、冒頭がか。
[ENO] その「現実感」が、視点と共にひっくり返る
[ENO] こういった「視点のどんでん返し」というのは、何らかの目的があるわけだ
[ENO] 死んでいるのは男の方だった! わーびっくりしたぞお
[ENO] ……という単純なものじゃない(w
[ENO] なぜなら、再び視点が入れ替わる
[ENO] 最後の方でね
[ENO] この視点のめまぐるしい入れ替えによる一種のめまいにも似た感覚の中で、それでも一つだけぶれずに伝わってくるものがある
[ENO] それは、この一組の男女の想いだ
[ENO] それを描き出そうとしたのなら、それが目的なら、それに共感を感じさせることが目的だとしたら
[ENO] 実に難しい道を選んだものだと思うな(w
[ENO] 技巧的な手法は成功していると思う
[ENO] 難しいのは、前半部なんだ
[ENO] 後半の視点の入れ替え以降は、一種の詩だから
[ENO] 読んでいる人の好みに合うかどうか、それが勝負
[ENO] 前半部の「あるある感」をどう見せるか
[ENO] もっと「よくあるベタベタ」にするか、それとも「文学的な美文」を並べるか
[dain] 前半部はそういう「あるある感」をねらったものだろうかなあ?って、講評の時はなにもいつちゃいけないのかな
[ENO] 疑問に思うなら、理由を言ってくれると嬉しい
[dain] 前半のなかほどあたりから、彼女の死の予見というか、ん?とおもわせる違和感がでてくるのとか、あと、感覚的にこんなカップル現実にはなかなかいねーよとかわたしはおもうのねw
[dain] だから、逆に之は、美化されたというか
[ENO] 「僕はこう思う」のは構わない、できるなら「なぜなら○○だからだ」というところまで言って欲しい
[dain] 男性の、思い出というか空想のなかのやりとりが前半部だとおもうの
[soutou] なぜならアメリカ合衆国大統領だからだ
[ENO] なぜ空想だと思うのか、理由は?
[dain] だから、あるあるという現実感よりは、べたべた、ではないけど、もっとそういう美しさをめざすものじゃないのかな
[ENO] 理由を言ってくれ(w
[ENO] どの部分からこれを「空想だと思った」のか、それを言ってくれないと、伝わらないよ(w
[dain] ええと、ふたつ。こんなカップル普通いないだろーっておもうのと、途中から彼女の死という現実ではない違和感がはいりこんでくるから
[dain] 彼女が死んでしまう、デジャビュ、とかの。
[ENO] 主観ね
[ENO] うん、わかった
[dain] もうその時点で、現実感というか、あるある感はなくなるんじゃないかな
[V-zEn] 主観でしたねw
[Kannna] んー
[Kannna] >私の大切な人は、もうすぐ死んでしまう。
[killist] #よくわからんなぁ。死が現実的じゃないのかぁ。
[Kannna] ここのことではないでしょうか?
[ENO] 現実感という言葉の意味が違うから、時間がかかりそうだな
[Kannna] 主人公が、なぜ、そのように確信しているかは、確かに説明はされていない。
[killist] #死なんてありふれて見向きもされないのが現実なのに。
[aba] #確かに、私が見たことあるこのレベルの(?)ラブラブなカップルは5組もないなぁ。
[V-zEn] 主観に対してロジカルに答えていくのは難しいっすから
[ENO] この「私の大切な人はもうすぐ死んでしまう」という言葉は、要するに前振りだと思うのだな
[Kannna] はい
[ENO] 唐突な文章の目的は何か
[ENO] それを考えれば、意味は通じる
[Kannna] 全体のコンテンツの内で、ですね<唐突な文章の目的は何かそれを考えれば、意味は通じる
[ENO] 読者の感情を操作するという基本の目的にしたがって読めば、これは違和感を持たせるためにのみ書かれている
[ENO] 読者に「え? なんで?」と思わせる
[ENO] つまりは、そこで「え? なんで?」と思わせるためには、そこに至るまでに、目一杯逆方向に読者を振っておかなくちゃならないのだな(w
[Zero2] はー、なるほど
[ENO] 次に出てくる「時間を戻そう」という不条理を、読者に飲み込ませるために必要な前振りなんだな
[ENO] ここに至るまでの「べたべたのカップル描写」は、確かに「そんなヤツいねーよ」かもしれない(w
[ENO] 「そんなヤツいねー」だから現実感が無いと思うか
[ENO] いるかもしれないシチュエーションを楽しむことができるか
[ENO] まあ、人それぞれだし、別にリアルさを求める話でもないし、まさしく「理想」というか情念の部分を描こうとしているのだから
[ENO] この「べたべたの部分」を「お約束」として許容できるかどうか、という部分だから
[ENO] この短編の中においては、それは些細な部分だと思うな
[V-zEn] 個人的には、この構成にする場合、ベタである必要性が高かったと考えます。
[ENO] この話のキモを考えると、ベタでなければならない
[ENO] それも「そんなヤツいねーよ」と読者が思うくらいの「あるある感」が必要
[Zero2] ベタにしないと、「——彼女はもうすぐ死ぬ。」の落差が大きく出ませんからね
[ENO] 皮膚感覚の物語ではない
[V-zEn] なぜならば、後半にかけて、同じパターンの話が別シチュエーションで繰り広げられるわけで
[V-zEn] その時、同じパターンであるということを
[ENO] 概念の中に作り上げる情念を描くわけだから
[V-zEn] 読者ができるかぎり無意識に理解する必要があるからです。
[V-zEn] よって、最初に提示するものは、記憶しやすい≒ベタである、というパターンが必要になります。
[ENO] パターンの繰り返しと視点のバトンタッチにより、視界がぼやける
[ENO] そのぼやけた視界の中に浮かび上がるのは「想い」である
[V-zEn] パターンは同じ。視点が変わる。最後に視点は混濁する。混濁する視点の中から、明確に現れるのが、ENOさんの言う「想い」ですから
[ENO] というわけで、実に技巧に走った構成で、これはこれでなかなかハイレベル
[V-zEn] ベタさ加減を指摘するのはちょっと視点が違うぞと考えますね。
[V-zEn] ですね。面白い構成だと思います。
[ENO] 最初にこんなのが来たせいで、みんなが困ったんじゃないかな?(w
[ENO] と言うか、俺が困った(w
[Zero2] うははw
[V-zEn] と言ったところで、次に行ってみましょうか(笑)
[EkitaiT] ENOさんを困らせた作品w
[ENO] レギュレーションはそのままで、これだけ技巧凝らされると
[ENO] 本来の目的とは違う講評をしなくちゃならんのだな(w
[V-zEn] ww

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