BILLY BAT 3巻

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BILLY BAT』3巻(モーニングKC

浦沢直樹
ストーリー共同制作長崎尚志

『BILLY BAT』3巻は、モーニングKCから刊行されている軽装版マンガ(コミックス本)。浦沢直樹著、ストーリー共同制作長崎尚志の、サスペンス風の作品。

単行本コミック3巻は、2010年3月に刊行された。
雑誌「モーニング」の以下の号に掲載されたマンガが収められている。

  • 2009年44号、46号、48号、50号、52号
  • 2010年2・3合併号、6号、8号、10号

単行本構成

  • 第20話「百地武芸帳 三之巻」
  • 第21話「百地武芸帳 四之巻」
  • 第22話「百地武芸帳 五之巻」
  • 第23話「百地武芸帳 六之巻」
  • 第24話「百地武芸帳 七之巻」
  • 第25話「百地武芸帳 八之巻」
  • 第26話「百地武芸帳 九之巻」
  • 第27話「百地武芸帳 十之巻」
  • “BILLY BAT”“THE NEW LEADER(新しいリーダーの巻)”

用語や登場人物

「百地武芸帳」
「百地武芸帳」は、『BILLY BAT』2巻末尾採録の「一之巻」から始まり、3巻に続く連続性の高い一連のエピソード。天正伊賀の乱の頃の戦国日本が主な背景になっている。

第20話「百地武芸帳 二之巻」

新ちゃん
第20話「百地武芸帳 二之巻」冒頭の回想的場面に登場する、伊賀の里の勘兵衛の幼馴染の1人。礫や手裏剣が得意。
冒頭の回想場面では、子ども時代の新ちゃんが、服部の領地を抜け出せる風穴のことを、勘ちゃん(勘兵衛)と、玄ちゃんに教え「うまく逃げろよ」と言うと、「権ちゃんたち服部の連中はまだこの風穴を知らない/日暮れまで逃げ切れれば 俺たち百地 藤林の勝ちだ!!」と告げる。
玄ちゃん
第19話「百地武芸帳 二之巻」冒頭の回想的場面に登場する、伊賀の里の勘兵衛の幼馴染の1人。組み打ちが得意。
第20話「百地武芸帳 二之巻」冒頭の回想シーンでは、子ども時代の玄ちゃんが、勘ちゃん(勘兵衛)と、風穴に入るが、闇に怯える。
回想シーンがいったん天正伊賀の乱当時になると、勘兵衛が追っ手に追い込まれた場面に。成長した玄ちゃんが現れ追っ手を倒すと「ここは俺に任せて…………/逃げろ勘ちゃん」と告げる。玄ちゃんは、戦いながら、この先の、俺たちしかしらない風穴を通って逃げろ、勘兵衛に言う。
風穴のなかを行きながら、勘兵衛は、子ども時代を回想。回想は、勘兵衛が風穴を行く間2度挿入されることになる(第20話冒頭の回想場面も入れると3度)。
風穴内で1度めの回想が「子ども時代の勘兵衛と玄ちゃんが偶然風穴を見つけた時の様子」。これは、冒頭の回想の直前の経緯にあたる。風穴内で2度めの回想は「子ども時代の勘兵衛と玄ちゃんが風穴を通り抜けた時の体験」。こちらは、冒頭の回想の後の経緯にあたる。
勘兵衛
伊賀の里で、百地丹波守配下の志能備(忍者)。
「百地武芸帖」の作中には観られない表現だが、イメージ的にはいわゆる下忍のような様子。「百地武芸帖」を通じて、主役級のキャラクターのように描かれる。
第20話「百地武芸帳 二之巻」冒頭の回想シーンでは、子ども時代の勘ちゃん(勘兵衛)が、玄ちゃんと、風穴に入るが、闇に怯える。“洞窟の岩すべてがバケモノに見えた”“だけど俺たちは志能備……”“闇を友とする者…………”。
場面が回想的描写から物語内の今(天正伊賀の乱当時)に戻ると、追われる勘兵衛が追っ手に追い込まれ囲まれる様子に。そこに成長した玄ちゃんが現れると、追っ手を倒し、この先の風穴を使って逃げろ、と告げる。「恩にきるよ!!」と、森の中を駆け去る勘兵衛。
場面は再度回想的描写に移り、冒頭の回想の直前、子ども時代の勘兵衛が、玄ちゃん、新ちゃんと3人で、服部の子どもたちから逃げる途中、偶然風穴を見つける様子が描かれる。
回想的描写が逃げる勘兵衛の時制に戻ると、勘兵衛は風穴の前にいる「ここを抜けて行けば……/やつらをまける……か」と、独り言する勘兵衛。「ここを玄ちゃんに教えてもらうとはな……」「あんなに怖がっていた玄ちゃんに……」と言いながら、勘兵衛は忍刀を手に、風穴に入って行く。
場面は再度、子ども時代の回想に。即席らしい松明を片手に持つ勘兵衛(勘ちゃん)と一緒に、風穴内にいる玄ちゃんは、「暗闇からバケモノが出る」と怖がり、座り込んで泣いている。「暗いのは俺も怖い!!」と言う勘ちゃんは、「バケモノなんていない!!」と玄ちゃんに聞かせる。勘ちゃんは「俺たちは志能備だ/志能備は闇を友にする者だ」とも語り、玄ちゃんをおぶってやり、風穴の闇の中を進む。出口の近くで、突然大声で叫ぶ玄ちゃんは、勘ちゃんを置いて「出たああああ!!」と叫んで駆け去ってしまう。勘ちゃんも振りかえると驚いた表情をみせ、悲鳴を上げて出口に駆けて行く。
勘ちゃんが出口を出ると新ちゃんがいて、玄ちゃんは、風穴を出るなりすっとんで行っちまった、と語る。服部の連中も風穴の入り口を見つけそうになったけど、と言う新ちゃんに「……けどどうした?」と訊く勘ちゃん。「みんな悲鳴をあげて逃げてったよ」と聞かされ、勘ちゃんが「なんで……?」と訊くと「黒いバケモノが風穴から出てきて宙に舞い上がったんだとさ」と、新ちゃん。
場面は三度、成長した勘兵衛が風穴の内を行く時制に。もう少しで風穴を通り抜けれるあたりで、勘兵衛は、自分が入って来た方から響く爆音を聞く。振り返って、爆薬を「玄ちゃんが追っ手に仕掛けてくれたのか?」と独り言を言う勘兵衛に、背後から「そのとおりだ勘ちゃん」と声がかけられる。
喜色を浮かべて駆け寄る勘兵衛は、玄ちゃんに固め技(関節技)を決められてしまう。「俊足のおまえを捕まえるにはこういう手しかないからな」と言う玄ちゃんは「仲間は爆薬で全員殺した/小頭になるにはこの手しかないんだ」とも続ける。勘兵衛は玄ちゃんに首を捻じ折られそうになるが。突然、玄ちゃんが悲鳴を上げ力を緩める。その隙をつき、勘兵衛は背負い投げのようにして玄ちゃんを投げ飛ばす。落差のある岩場を投げ落とされ、口から血を出す玄ちゃんは、「あの時と……/同じ問いだ…………」と呟き、勘兵衛に「どうやら………/運ぶのは………」「勘ちゃん…………/おまえ…………」と言って、事切れる。
  • 第21話「百地武芸帳 四之巻」の冒頭では、子供時代の勘兵衛(勘ちゃん)と、権ちゃんとの階層的な描写が描かれる。川に渡された縄橋(一本縄を渡しただけの簡易な橋)の上で、立会いをする2人。縄橋に誘い込まれた様子の勘ちゃんは、権ちゃんに「いさぎよく負けを認めろ」と言われるが、「俺……泳げないんだ」と言いながら、川に落ちる。結局、勘兵衛は、後追いで川に飛び込んだ権ちゃんに助けられ、おぶわれて帰る。「あそこまで追い詰めたら降参するだろ普通」と、権ちゃん。「だからまだ降参してねえ……」と勘兵衛。「俺が助けなかったら溺れ死んでるくせに」と言う権ちゃんに「たとえ溺れ新でも降参しないのが我ら志能備……」と勘兵衛が強がりを言うところで“グウウウ…”と腹のなる音が。「腹がなるのは命とりだって言ってるわろう……へ……へ……」「へ−−クション!!」と、大きなくしゃみをする権ちゃん。「風邪も命取りだぞ」と言う勘兵衛、「うるせ−−!!」と権ちゃん。
  • 第21話では、冒頭の回想的描写に続いて、断崖の間を流れる川に渡された縄橋の様子を、夜陰にまぎれてうかがう勘兵衛が描かれる。
岩壁の影
勘兵衛が風穴を抜ける直前、玄ちゃんが、固め技を決め、勘兵衛の首を捻折ろうとする。その時、玄ちゃんの目には、岩壁に写った影が、「運ぶのはお前か?」と、問いかけてくるように聴こえる。
フランシスコ・ザビエル
インドから日本へ渡り、キリスト教の宣教をしたカソリックの聖職者。イスパニア(スペイン)出身で、イエズス会の創設者の1人。
第20話では、エピローグに相当するパートで、少年時代のザビエルの小さなエピソードが描かれている。
少年時代のザビエルは、洞窟の中で岸壁に浮かび上がった大きな影に「運ぶのはお前か」と問いかけられたと言う。この場面は直接は描かれず、ザビエルを探しに来た従者に、少年ザビエル自身が語り聞かせる。「だから僕は答えたんだ/もちろんこのフランシスコ・ザビエルが運ぶってね!!」

第21話「百地武芸帳 四之巻」

権ちゃん
第21話「百地武芸帳 二之巻」冒頭の回想的場面に登場する、伊賀の里の勘兵衛の幼馴染の1人。第20話にある回想シーンの、新ちゃんのセリフによれば、服部の領地の志能備(下忍)と思える。
第18話(2巻)で描かれた回想シーンにも登場していて、剣技が得意。子ども時代には、勘兵衛と競い合い、勝負がつかないようなことを繰り返していた様子。
第21話冒頭では、子ども時代の勘兵衛と権ちゃんが、川に渡された縄橋(一本縄を渡しただけの簡易な橋)の上で、立会いをした時の様子が描かれる。縄橋に誘い込まれた様子の勘ちゃんは、権ちゃんに「いさぎよく負けを認めろ」と言われるが、「俺……泳げないんだ」と言いながら、川に落ちる。
結局、勘兵衛は、後追いで川に飛び込んだ権ちゃんに助けられ、おぶわれて帰る。「あそこまで追い詰めたら降参するだろ普通」と、権ちゃん。「だからまだ降参してねえ……」と勘兵衛。「俺が助けなかったら溺れ死んでるくせに」と言う権ちゃんに「たとえ溺れ新でも降参しないのが我ら志能備……」と勘兵衛が強がりを言うところで“グウウウ…”と腹のなる音が。「腹がなるのは命とりだって言ってるわろう……へ……へ……」「へ−−クション!!」と、大きなくしゃみをする権ちゃん。「風邪も命取りだぞ」と言う勘兵衛、「うるせ−−!!」と権ちゃん。
巻物
百地丹波
ヤジロウ
黒蝙蝠

第22話「百地武芸帳 五之巻」

第23話「百地武芸帳 六之巻」

ケヴィン・ヤマガタ
フィーニー大尉
黒蝙蝠写本
用語や登場人物
解説

関連する用語

天正伊賀の乱
1573年〜1593年の天正年間中盤、1578年(天正六年)と、1581年(天正九年)に断続した、織田軍の伊賀侵攻、制圧戦。1578年には、信長の息子信雄が独断で伊賀に侵攻し敗退(後世、「第1次伊賀の乱」とも。直後、信雄は信長から謹慎を命じられた。1581年には、信長の命で東、北、西の三方から大軍を伊賀国に侵攻させ、短時日で蹂躙、制圧(後世、「第2次伊賀の乱」とも)。この時、信長自身は出陣せず、制圧後に閲兵と視察のため伊賀入りしたのみ。『BILLY BAT』の「百地武芸帳」で、主に描かれるのは、1581年の第2次伊賀の乱の直前のことになる。
フランシスコ・ザビエル

メモ

書誌情報

アフタヌーンKC

2010年刊行

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